【専門家が解説】ビタミンDの働き!骨の成長から免疫力アップまで、マルチに働くビタミンDを効率的に取り入れる方法
監修:桒原 晶子(くわばら あきこ)
ライター:UP LIFE編集部
2026年3月25日
健康
免疫力に関係する栄養素として知られるビタミンD。実はそれ以外にも多くの働きがあることがわかっています。今回は、身体に欠かせないビタミンDの働きを、大阪公立大学の桒原晶子先生にお聞きしました。
そもそもビタミンDとは?ビタミンDの効果・総復習
ビタミンDといえば、骨をつくる栄養素のイメージがあると思いますが、桒原先生に聞くとビタミンDの働きは幅広いといいます。
ビタミンDは、栄養のマルチプレーヤー
「ビタミンDを例えるなら、栄養のマルチプレーヤー。身体のさまざまな働きに関与しています。たとえば、よく聞くカルシウムの吸収をサポートする効果。これは骨をつくるだけでなく、筋肉の合成にも関わります。また、免疫調整をして炎症をコントロールしますし、血圧を上昇させるホルモンの量を制御するので、血圧の安定にも一役買っています。さらには、インスリンの分泌やその効きをサポートする効果も。あとは妊婦さんの高血圧や糖尿病の予防や胎児の発育にも関係します」と桒原先生。
年代ごとにビタミンDが必要な理由は変わる
またビタミンDは、骨の生成といったベースの機能とは別に、ライフステージごとに必要とする目的が変わってくるそう。
「たとえば、日本は若年層のビタミンD栄養状態が低いというデータ※1,※2があります。私の研究でもビタミンDの主な摂取源となる魚が習慣的に食べられておらず、卵からビタミンDを摂取する方が多かったです。また、日焼け止め使用の習慣もビタミンDの欠乏と関係あるかもしれません。しかし骨密度がピークになるタイミングにあるため、やはりビタミンDが一定レベルにあることが望ましいと考えられています。また中年以降は、骨粗鬆症の予防だけでなく、糖尿病といった生活習慣病にもビタミンDが役立つ可能性があります」と桒原先生。
それでは、各ライフステージにおいてビタミンDが必要な理由を詳しく見ていきましょう。
各ライフステージで異なる!ビタミンDの役割
10代〜30代にビタミンDが必要な理由は?
まずは10代〜30代。これらの年代にビタミンDが必要になる理由は、主に2つ。
骨を最大限に成長させて、将来の骨の健康を支える
1つめは、骨が伸びる時期と骨密度が最大となる時期があるから。
「12歳〜14歳にかけては、骨の長さが一気に伸びる時期。身長が伸びるのはそのせいです。骨を伸ばすために身体はカルシウムを必要としますが、このカルシウムはビタミンDがあることで吸収率が高まります。また骨は、20代前半に最大骨量を迎えます。カルシウムと併せ、ビタミンDが体内に充分にあることで骨量を増やすことができます」
特に20代前半では、最大骨量を獲得することで、閉経後の骨量減少に備えることができます。
妊娠糖尿病や早産を予防、妊娠中の身体と子どものためのビタミンD
2つめは、お母さんと子どもの健康を守るため。
「妊娠中に母体にビタミンDが必要な理由は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を予防するため。ビタミンDは胎盤機能の維持やインスリンの効きを調整する機能があります。母体でビタミンDが欠乏すると、これらの病気のリスクが高まりますし、実は胎児にも影響があります。たとえば出生児の低体重です。ビタミンDは骨生成に影響するので、不足していれば胎児の体重も少なくなります。さらにビタミンD欠乏では、骨の石灰化(骨を鉄筋コンクリートにたとえるなら、鉄筋の上にコンクリートが乗ること)が障害されO脚などの足の変形を起こす、くる病にもかかりやすくなります。さらにビタミンDは肌のバリア機能も保つために、不足すればアトピー性皮膚炎にもかかりやすくなるという研究もあります※3」
高齢者よりも摂取量が低い日本の妊婦さん
桒原先生は、国民健康・栄養調査の結果からも、妊婦さんのような若い世代は高齢者の方々よりもビタミンDの摂取量が低いと話します。ビタミンDは母体を通し、子どもたちという次の世代に引き継がれる栄養素なので、30代までの時期にしっかり摂っておくのがおすすめです。
40代以降にビタミンDが必要な理由は?
次に40代以降の時期にビタミンDが必要になる理由は、主に疾患との関わりからです。
骨粗鬆症予防、糖尿病や心血管系リスクの軽減
「更年期を含めた中年期にビタミンDが重宝される理由の1つは、骨粗鬆症予防です。閉経近くになり女性ホルモンの分泌量が減ると、骨を作る/壊すことのバランスが崩れて骨粗鬆症が発症しやすくなるためです。さらにこれらの時期は、2型糖尿病や心血管系疾患のリスクも高まる時期なので、インスリンや血圧の調整機能があるビタミンDは、やはり大切になってきます」
男性にとっても不可欠なビタミンD
女性だけでなく男性も同じように、各年代でビタミンDが必要だといいます。
「女性と同じように男性も20代前半で骨の成長のピークがやってきます。その際にビタミンDが体内にしっかりあることが重要ですし、ビタミンDは筋肉や筋肉量にも関係しています。40代以降はやはり女性と同じで、骨量や筋肉量の減少や心血管系疾患や生活習慣病のリスクが高まるので、やはりビタミンDが適切に体内にある状態が望ましいですね」
さまざまな働きをするビタミンDですが、桒原先生いわく「未病」の段階でしっかり摂っていくのが大切とのこと。
それではビタミンDを摂取するにはどうすればよいのでしょうか?
ビタミンDを切らさず、生涯健康な生活へ
ビタミンDを取り入れる方法は主に2つ、食事と日光浴です。
桒原先生は、週2回以上の魚料理に毎日の散歩を推奨しています。
週2回以上の魚料理でビタミンDを継続的に摂取
「シャケなら1切れで1日の望ましい摂取量(日本人の食事摂取基準の目安量)がまかなえます。その他に、いわし(缶詰や蒲焼)やマガレイもビタミンDの含有量が多めですね。あとは卵や干きくらげ、舞茸にビタミンDが多いですが、1日の目標量には足りないかもしれません。ビタミンDは日光に当たることで生成できる栄養素なので、週2回以上の魚料理と毎日の散歩を組み合わせて摂っていくのが良いと思います」
毎日の散歩で日光を浴びてビタミンDを生成
散歩の際は、手足は日焼け止めを塗らずに出るのがおすすめ。仕事の休憩時間などに少しだけ日光に肌をさらす、それを毎日少しずつでも継続していくのが大切です。
また必ずしも毎日、ビタミンDの基準値を摂らなくてもよいといいます。
「あくまでも習慣的に摂取することが大切です。ビタミンDの栄養状態をしめす血中の数値は約1カ月かけて入れ替わります。日々の積み重ねが反映されますので、コツコツと食事と日光浴で補いましょう」
どの年代にも、そして次の世代にも恩恵がある
桒原先生は、ビタミンDの栄養状態を維持することで病気にかかりにくくなると話します。
「ビタミンDはそれぞれの理由でどのライフステージの女性の健康にも利益がある栄養素だと思います。毎日少量でもビタミンDを摂り、体内で欠乏しない状況をつくることで、病気にかからない身体づくりにもつながっていきます。その効果は目に見えませんが、健康の下支えになっていることはまちがいありません。自分だけでなく次の世代にも恩恵がある栄養素なので、その効果を最大限、享受していただきたいです」
- 高岡宣子,長尾匡則,梅澤光政,他:日本人の再生産年齢女性における血中ビタミンDの分布.日本公衆衛生雑誌 64:133-142, 2017.
- Kuwabara A, Nakatani E, Nakajima H,et al. Development of a predictive scoring system for vitamin D deficiency 'Vitamin D Deficiency Predicting Scoring (ViDDPreS)' based on the vitamin D status in young Japanese women: a nationwide cross-sectional study. Public Health Nutr. 2024 Sep 27;27(1):e185.
- Oh JW. The clinical impact of vitamin d in children with atopic dermatitis. Allergy Asthma Immunol Res. 2013 Jul;5(4):179-80.
監修
桒原 晶子(くわばら あきこ)
大阪公立大学大学院生活科学研究科教授。大学院終了後、大阪樟蔭女子大学、旧大阪府立大学などで教鞭をとる。主な研究テーマは脂溶性ビタミン。ビタミンDに着目し、ビタミンDと疾患の関係性や、若年女性のビタミンD欠乏の原因を探る研究を行っている。2009年に日本骨粗鬆症学会研究奨励賞、2017年に日本栄養・食糧学会奨励賞、2022年には日本ビタミン学会奨励賞受賞。2023年には、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会ワーキンググループ構成員(脂溶性ビタミン)を務めた。
2026年3月25日 健康
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