【管理栄養士監修】睡眠の質を上げる食べ物とは?「二季化」でもよく眠るための食事と栄養のポイント

二季化で睡眠の質が落ちたら、朝食を見直そう! 二季化で睡眠の質が落ちたら、朝食を見直そう!

監修:篠原 絵里佳
ライター:UP LIFE編集部
2026年10月2日
健康

少しずつ四季が失われ、夏と冬が長く続く「二季化」が進んでいます。こうした気候の変化は、私たちの睡眠の質にも影響をおよぼす可能性があるといいます。今回は、二季化が睡眠におよぼす影響とその対策について、管理栄養士の篠原絵里佳先生にお聞きしました。睡眠の質を上げるために意識したい食べ物や、食事のポイントについてもご紹介します。

四季から二季へ、気候の変化は睡眠の質にどう影響する?

日差しを感じる女性

暑い夏が終わり、寝苦しい日々もようやく終わったかと思ったのになかなか眠れない。朝すっきり起きられない。そんな方もいるのではないでしょうか。篠原先生は睡眠の質の低下には、気候の変動が関係していると話します。

日本の季節が変わってきた!四季から二季へ

「気候変動の影響を受け、日本の四季が少しずつ変わってきています。暑い夏が長く、秋を感じず冬が来る。寒かったと思ったら気温が急上昇して、春もそこそこにすぐに夏が来る。四季から二季へ。長らく四つの季節で過ごしていた私たちの身体は、この急激な気候の変化についていかなければなりません」と篠原先生。
二季になることで、私たちの身体にはどのような影響があるのでしょうか?

二季の気温変化が身体にダメージを与える

「二季化が進むと、春と秋が短くなり、夏と冬が長く続くようになります。気温の変化が急激になると、暑さに身体を慣らす『暑熱順化』や、寒さに適応する『寒冷順化』が十分に進みにくくなる可能性があります。さらに秋口は、夏の暑さによる疲れ、いわゆる夏バテの影響が続きやすい時期。夏バテの原因の1つには、室内と室外の大きな温度差があり、こうした温度変化は自律神経にも負担をかけます。
また、秋は春と同様に環境の変化が多く、ストレスを感じやすい季節です。このように季節の変わり目はそもそも身体に負担がかかりやすく、気温への順応が間に合わなければ身体へのダメージが大きくなる可能性があります」

二季化は睡眠の質にも影響する 

二季化による気温の急激な変化は睡眠にも影響します。篠原先生によると、睡眠は寝室の温度の影響を受けやすいそう。それは室温を単に「暑い/寒い」だけでなく、身体の体温調節反応を引き出す環境として捉えることができるからだといいます。

寝室の温度と睡眠の質の関係

「眠りにつく前は身体の内部の温度である深部体温が下がる必要があります。寝室の温度が高すぎたり低すぎると体温調節がうまくいかず、寝付きが悪くなったり夜中に目を覚ます『中途覚醒』が起こるなど、睡眠の質が下がりがち。夏と冬の気温が過度になる二季化が進むと、睡眠に適した室温調整も極端になり、やはり睡眠に影響が出るかもしれません。昨日まで冷房が必要だったのに翌日には寒く感じるなど、急激な温度変化で室温の調整が難しくなることも考えられます」

自律神経の乱れが睡眠にも影響する

睡眠の質が低下すると、その影響で自律神経が乱れることがあります。本来夜間は副交感神経が優位になりますが、自律神経が乱れれば夜間でも交感神経優位のままであることも。

「交感神経優位の状態だと、メラトニンという睡眠に関わるホルモンの分泌が抑制されてしまいます。さらに自律神経は体温調節にも関わっているので、入眠時の体温調整がそもそもうまくいかないといったこともあるでしょう」

睡眠の質が低下すると起こる身体への影響

睡眠の質の低下は、身体にどのような影響があるのでしょうか?

「しっかりと眠れなければ成長ホルモンの分泌量が減り、骨や筋肉の成長、細胞の修復が妨げられます。また成長ホルモンはエネルギー代謝を調整するので、体重の増加や生活習慣病のリスクにも影響する可能性があります。また睡眠は脳の働きにも関わるので、気分や集中力などメンタルにも影響が出ますし、さらには免疫力の低下も引き起こします。つまり睡眠の質の低下は、単なる眠気や疲労感の問題だけではなく、生活全般に影響を及ぼします」

二季化で下がる睡眠の質を上げる食べ物とは?食事で意識したいポイント

朝食の食卓

健康的な生活にとって欠かせない睡眠。それでは二季化で低下しがちな睡眠の質をアップする方法はあるのでしょうか?篠原先生は、食事に睡眠の質を上げる鍵が隠されていると話します。

睡眠に関わる栄養素「トリプトファン」を朝食に取り入れよう

睡眠の質向上食としておすすめなのが、トリプトファンたっぷりの朝食だと篠原先生。

「トリプトファンとは、身体をつくるアミノ酸の一種。このトリプトファンは身体の中でセロトニンに変換され、最後には前述のメラトニンになります。トリプトファンはメラトニンの材料であり、眠気を促し、睡眠に関わる大切な栄養素です。これを朝食で摂るのがおすすめです」

【睡眠の質を上げる朝食メニュー】

トリプトファンが豊富に含まれるのが、肉や魚、卵、そして大豆製品や乳製品。これらの食材を朝食に取り入れるとどのようなメニューになるのでしょうか?

洋食派におすすめのメニュー例

ツナサンド、ゆで卵、ソーセージ、ヨーグルト

和食派におすすめのメニュー例

アジの開き、納豆ごはん、豆乳、バナナ

「洋食派なら、ツナサンドだけでなくチーズトーストでもトリプトファンが摂れます。副菜としてハムやソーセージをプラスしてもよいですね。和食派なら魚があれば理想ですが、それが難しくても納豆や卵、豆乳なら摂れるという人もいるのではないでしょうか」

まずは一品、トリプトファン食材を足してみよう

しかし、毎日完璧な朝食を摂る必要はないと篠原先生は話します。

「朝は誰もが慌ただしいですから、パーフェクトな朝食を目指す必要はありません。まずは一品、トリプトファン食材を足してみる。コーヒーとパンだけだった朝食にチーズを足すだけでもかまわないので、やれるところからやっていきましょう!」

睡眠の質を上げるために朝食が大切な理由

トリプトファンだけではない朝食のメリットもあるそう。

体内時計をリセット

実は朝食を摂ることで体内時計をリセットできます。人の体内時計は24時間よりも少し長い周期になっていますが、朝食に炭水化物を摂ることでインスリンが分泌され、それが体内時計のリセットにつながります。起床から2時間以内に朝食を摂るのがおすすめ。

体温を上げる

また、朝食後は体温が上がり、日中の活動モードに身体が切り替わります。⼀⽅、夜になると深部体温は徐々に低下していき、この体温の変化が⾃然な眠りにつながります。

気候が影響する睡眠の質は、食事で整えよう!

窓の外の日差しを確認する女性

二季化による睡眠の質の変化は、一見ネガティブに感じますが、篠原先生はこれを食や自分の健康を見直すきっかけにしてほしいと話します。

睡眠の質の低下でリスキーな判断をしてしまうことも

「お話ししたように睡眠の質が下がれば身体だけでなくメンタルにも大きなダメージが生まれます。睡眠不足の状態にも慣れるもので、長らく睡眠が取れていない人は眠くなりにくいもの。しかし、そういう状態になると自分のパフォーマンスが下がっていても気づけなくなります。脳を休ませることができるのは眠っているときだけですから、睡眠の質が低下すれば判断力にも影響が出て、リスキーな選択をしてしまうことが増えます。相手の気持ちを思いやったり、周囲の状況をくみ取ったりすることも難しくなるかもしれません。」

しっかり眠れれば、美容面でのメリットも多い!

「対照的に睡眠の質が向上すれば、疲労回復や免疫アップは当然、老化予防やアンチエイジング、ダイエットなど美容面でのメリットも大きい。睡眠の質の影響は、乾燥が気になるこれからの季節の美容はもちろん、20〜30年後の若々しさにも影響します。だからこそ日々の睡眠を意識するに越したことはないと思います」

睡眠は無料でできる「未来への投資」

「同じ年齢でも若くみられる方と年上にみられる方がいます。その違いは、睡眠の差にあるのかもしれません。そして睡眠は1日では結果が出ず、毎日の積み重ねが必要です。すぐ先の未来はもちろん、数十年後の健康や美容へ。未来の自分のために、睡眠にフォーカスしてみてください。ぜひ、この記事をきっかけにご自身の睡眠を見直していただけたらと思います!」

監修

篠原絵里佳先生

篠原 絵里佳(しのはら えりか)

管理栄養士、健康と長寿、美容にまつわる食事や栄養、睡眠を提案するHealth&Beautrition主催。家族の病気がきっかけで管理栄養士の資格を取得。総合病院や腎臓・内科クリニックの管理栄養を担当し、独立した。長年の臨床経験から、病気予防を前提とした健康長寿×栄養学の生活習慣を提案している。2011年より睡眠改善インストラクターとしても活動、栄養と睡眠の両面からアプローチを行い、2021年には日本抗加齢医学会より褒章を受章。最近はプレコンセプションケアをはじめとした女性医療の分野に注力し、フィーカレディースクリニックにて栄養や睡眠相談を担当している。

2026年10月2日 健康

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