寒いと眠くなるのはなぜ?冬の睡眠を整える食事・運動のポイント【管理栄養士監修】
監修:篠原 絵里佳
ライター:UP LIFE編集部
2026年10月30日
健康
寒くて布団から出にくい。日の出も遅くなり、ついゆっくり眠っていたくなる季節がやってきます。寒さや冬場の環境も睡眠の質に影響があるのでしょうか?今回は、寒い時期の眠りを改善する食事や運動について、管理栄養士の篠原絵里佳先生にお聞きしました。
寒いと眠くなるのはなぜ?冬に睡眠が乱れやすい理由
寒さが厳しくなる冬。布団に入ったのにいつまでも眠りにつけなかったり、普段は起きられる時間なのについ眠りすぎてしまうという人もいるはず。篠原先生は、冬場は睡眠のリズムが崩れやすいと話します。
寒さで深部体温が下がりにくく、眠りにつきにくい
「眠るためには身体の中心の温度である深部体温が下がる必要があります。しかし冬場は、寝室や寝具が冷えていることで手足の血管が収縮し、身体の内部にたまった熱をうまく逃がせなくなることがあります。その結果、入眠に必要な深部体温の低下が妨げられ、寝つきが悪くなることも。さらに冷え性の方は要注意かもしれません」
冬は日の出が遅く、朝起きにくい
冬は寝つきが悪いだけでなく、布団から出にくいこともあります。
「目覚めのスイッチになる日の出が遅くなり、夜間からのメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が続いてしまうことが1つの原因です。脳がまだ夜だと勘違いしている状態ですね。また、私たちの深部体温は、朝から日中にかけて上昇していきます。冬場は朝の光を浴びる時間が遅くなりやすく、寒さによって活動を始めにくいことも、目覚めの悪さにつながると考えられます」
活動量が下がり、睡眠ホルモンのメラトニンが分泌しにくい
さらに、寒さで日中の活動量が減ることも睡眠に影響をおよぼすと篠原先生は指摘します。
「日中に太陽の光を十分に浴びないと、体内時計のリズムが乱れやすくなります。メラトニンはセロトニンを材料として主に夜間に合成されるホルモンですが、その分泌リズムは光の影響を強く受けています。冬場は日照時間が短くなるため、メラトニンの分泌にも影響があるかもしれません」
冬の環境下で乱れた睡眠を整えていく方法はあるのでしょうか?
冬の睡眠の質を整えるには?おすすめの栄養素と運動
篠原先生は、冬場の食事はまず、身体を温めるものをベースに考えてほしいと話します。さらにメラトニン生成を促す栄養素も意識すると良いそう。
必要なのは、血行促進とメラトニン生成を促す栄養素
「身体を温めるためには血行促進に関わる栄養素が必要です。ビタミンE、糖質、鉄分、葉酸などがおすすめ。さらにメラトニンをつくりやすくするためには、トリプトファンやビタミンB6を意識しましょう」
具体的にはどのような食材がよいのでしょうか?
冬の睡眠対策に取り入れたい食べ物
「せっかくですから冬場に旬を迎え、おいしさが増す食材から上記の栄養素を摂るのが良いですね。とくに根菜類は、温かい煮物やスープなどに取り入れやすい食材です。じゃがいもやかぼちゃ、にんじんなどにはエネルギー源となる糖質も含まれており、寒い季節の食事におすすめです。あとは、鉄分の多い小松菜やほうれん草、春菊もおいしい季節ですし、ほうれん草はビタミンEも豊富です。ブロッコリーやアーモンドもビタミンEが多いですね。ほかにビタミンB6が含まれるさつまいもやブリ、サバもおすすめですし、ブリとサバには鉄分も含まれています。あと忘れてならないのが生姜。身体を内側から温めてくれる食材なので、冷えた身体にぴったりです」
冬が旬の野菜を取り入れるメリット
おいしさ以外にも冬の野菜を摂るメリットはあるのでしょうか?
「野菜などには人の身体に働きかける機能性成分があり、これは野菜が外敵から身を守るために備えた成分といわれています。冬場の野菜の辛味が強いのは細菌から身を守るため。そんな辛味が増した野菜を私たちがいただくことで身体を温めることができ、身体が温まれば睡眠の質だけでなく冷えの改善や免疫力の向上も期待できます」
入浴・運動など食事以外でできる冬の睡眠対策
食事以外にも、冬場の睡眠の質を上げるケアはあるそう。
「身体を温めることを考えたら、血管を拡張する入浴は大切です。就寝前の1時間〜1時間半ほど前には湯船につかりましょう。また、せっかく身体が温まっていても布団の中が冷たければ身体が冷えてしまいます。湯たんぽや電気毛布があれば活用しましょう。さらに、リラックス効果が高まるケアもおすすめです。ホットアイマスクや適度なストレッチ、クリームを塗るなどのボディケア、気持ちが落ち着くことであれば何でも良いのですが、寝る前に行うナイトルーティンを持っておくことで冬場だけでなく旅行先など、環境変化があったときの入眠もスムーズになります」
他には、ウォーキングなどで適度に身体を動かすのもおすすめ。それが難しければ通勤時に遠回りして帰るだけでもOKです。また決まった時間に寝て起きるといった、睡眠のリズムをなるべく崩さないということも大切です。
冬の睡眠対策を無理なく続けよう
冬に睡眠の質をキープすれば、次にやってくる季節や気候の変化も怖くないはず。
毎日の睡眠習慣を整えて次の季節に備えよう
「寒い冬が終われば、また猛暑がやってきます。毎日の睡眠は次の季節の体調を整えることにつながりますし、もっと長いスパンで見れば、今の睡眠の質が20〜30年後の自分の身体を作るとも言えます。今からはじめて少しずつ。毎日、睡眠の質を改善していくのがよいでしょう」
無理なくできそうな睡眠対策からはじめよう
篠原先生は、やってみたいと思う睡眠対策からはじめて欲しいと話します。
「良い眠りにつければ、体調だけでなく肌や髪の状態も良くなっていきます。乾燥などの冬の肌トラブルの予防にもなり、想像以上にメリットを感じられるはず。ふだんの生活に何か1つでも新たな習慣をプラスして、無理なくできそうなことを選んでください。楽しそうだなと思うケアからはじめていきましょう!」
監修
篠原 絵里佳(しのはら えりか)
管理栄養士、健康と長寿、美容にまつわる食事や栄養、睡眠を提案するHealth&Beautrition主宰。家族の病気がきっかけで管理栄養士の資格を取得。総合病院や腎臓・内科クリニックの管理栄養を担当し、独立した。長年の臨床経験から、病気予防を前提とした健康長寿×栄養学の生活習慣を提案している。2011年より睡眠改善インストラクターとしても活動、栄養と睡眠の両面からアプローチを行い、2021年には日本抗加齢医学会より褒章を受章。最近はプレコンセプションケアをはじめとした女性医療の分野に注力し、フィーカレディースクリニックにて栄養や睡眠相談を担当している。
2026年10月30日 健康
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