日本マクドナルド 様
この記事は、日経BPの未来コトハジメ「社会デザイン研究」に掲載したものの転載です。記事の内容はすべて本稿初出時当時のものです(本稿の初出:2021年11月16日)。
この記事を要約すると
・2021年に50周年を迎えた日本マクドナルドは、食の安全・安心や環境にも配慮する企業として知られる
・同社では郊外のドライブスルー併設店舗を中心に、パナソニック ナノイーX搭載の空調システムを導入
・1時間に50メートルプール4杯分もの空気を入れ替えるほど“空気の質”にこだわる日本マクドナルドにとって、ナノイーXは快適空間を支える付加価値となる
・両社が生み出す相乗効果の背景には長年の信頼関係があった
マクドナルドが日本に上陸して2021年で、実に半世紀。日本全国、老若男女に愛されるレストランとして、知らぬ者はいないといっていい。そうした多様な客層が訪れる店内で快適な食事空間を提供するため、日本マクドナルドは2017年からパナソニックの空気清浄システム ナノイーXを導入している。“空気の質”を重視する日本マクドナルドとパナソニック、双方の関係者に導入の経緯と効果について聞いた。
おいしい空気は“0円”
日本マクドナルドがナノイーXを採用したワケとは?
食のリーディングカンパニー、マクドナルドの環境へのこだわり
2021年、日本上陸50周年を迎えたマクドナルド。日本マクドナルドは今年、50周年サイトを設けたり、積極的にキャンペーンを展開するなどしてアニバーサリーイヤーを祝っている。
日本マクドナルドの50周年記念サイトではその歴史や軌跡、商品の開発秘話や未来予想まで含め多彩なコンテンツをドライブ感覚で気軽に楽しく見られる工夫がされている。
2021年9月現在、日本の店舗数は2932店。これは飲食チェーン店では最多であり、全国津々浦々まで出店しているマクドナルドを知らない人を探すほうが難しいかもしれない。それだけ我々の生活に溶け込み、老若男女の胃袋を満たしていることになる。
食のリーディングカンパニーとして、日本マクドナルドはかねてより食の安全・安心にも力を入れてきた。安全な商品を提供するための「フードセーフティ」、そして最高のおいしさと高品質な商品を提供するための「フードクオリティ」を高いレベルで実現し続けるための「食品管理システム」を構築して、生産地から店舗までの安全・品質・衛生の管理を徹底。さらに正しく理解して実行するために、従業員が食品安全について定期的に学習する。
環境への配慮も欠かさない。「地球のことを考えて行動する」ことを環境理念とし、紙製容器包装類やトレイマットにはFSC認証済み資材(※)を使用。社会問題化しているプラスチック対策にも早くから取り組み、2016年からはアイスコーヒーのカップをプラスチックから紙に変更し、2018年からはハッピーセットのプラスチックのおもちゃを回収して、お店で使うトレイに再生するリサイクル活動を開始。また、注文を受けてから作るメイド・フォー・ユーの浸透により、商品廃棄の食品ロスが大幅に減少する成果を挙げている。
※FSC認証 将来も豊かな森が維持できるように管理しているかを国際的な基準で確認・証明する制度
コロナ禍が襲った2020年にはいち早く、店内の感染症対策を実施。コロナ前より実施していた店舗スタッフの手洗い、健康チェックに加え、マスクの着用や、消毒の徹底を基本としたうえで、店内のソーシャルディスタンス確保や客席のじゅうぶんな換気に努めた。
そのマクドナルド店舗の空調システムに、パナソニックのナノイーXが順次導入されていることをご存知だろうか。ナノイーXは空気中の菌やアレル物質などの有害物質を変性させ、抑制する「OHラジカル」をふんだんに含む“水から生まれた清潔イオン”である。これまで自動車、鉄道、コインランドリー、スーパーマーケット、ホテルなど、私的・公的を問わずさまざまな生活空間に実装されてきた。そしてマクドナルドでも、ナノイーXが“空気の質”の向上に一役買っているのだ。
1時間でプール4杯分の空気を入れ替え
日本マクドナルドでは年間にして約70店ほどの新規出店を進める。それに加え、およそ7〜10年のタームで既存店舗のリニューアルを行なう。日本マクドナルド 店舗開発本部の北村洋一氏は「お客様がより使いやすい店舗になるように、常に投資を続けています」と話す。
ナノイーXの導入が始まったのは2017年から。これは空調機にナノイーXデバイスが搭載され始めた時期であった。
「新規店舗開発や改装にあたっては、あらゆる建材の調達が必要です。空調に関しては毎回パナソニックが良い提案を出していただくので今回も導入の運びとなりました」(北村氏)
もちろん、ナノイーXがもたらす付加価値もポイントだった。背景には、マクドナルドによる店舗の設計指針が深く関わっている。
「レストランですから、お客様に快適な空間でお食事していただくことが最大の目的です。そのためマクドナルドにはグローバルで統一している設計指針があり、空気も重点項目の1つになります。日本マクドナルドは新型コロナ前から換気には非常に気を配っており、郊外のドライブスルー店舗では、1時間で50メートルプール4杯分ほどの空気を常時入れ替えています。
この指針に則れば、ナノイーXは間違いなくプラスアルファの価値。抑制できるニオイやアレル物質の数も多く、発生時の独特なニオイも皆無です。的確に空気を清浄化してくれるため、レストランにとっては頼もしい存在で、この優位性に勝るものはありませんでした」(北村氏)
もう1つ、店舗運営の観点から「メンテナンスに手間がかからない」ことも採用を後押しした。多様な店舗形態があるため、ナノイーX搭載の空調はすべての店舗が対象ではないが、それでもかなりの導入数となるからだ
「我々のように膨大な店舗数があり、24時間営業も多いとなるとメンテナンスにかかる負荷は軽視できません。日本マクドナルドはクリーニングチェックの規定を定めており、従業員が毎日機器を確認していますので、日常的なメンテナンスの手間がかかると厳しい面があります。その意味でもナノイーXは魅力的でした」(北村氏)
相互の信頼関係が“おいしい空気”を支える
パナソニック産機システムズ 空調事業本部の岩渕悟氏は、全国展開しているナショナルチェーンを担当する。中でも日本マクドナルドは最大アカウント数を誇り、6〜7割ほどを占めると言われるフランチャイズオーナーとの空調の営業窓口も兼ねている。
「オーナー会にも足繁く顔を出し、ナノイーXの効果をアピールしました。普段から空気の質に意識的なオーナーは存在を知っていることが多く、付加価値として響きやすかったのは事実です。また、我々は全国に拠点があり、24時間365日受付の体制を敷いていますから、空調設備の設置や入れ替え、トラブルなどの際も迅速に対応可能です。その点も強みの1つとなっています」(岩渕氏)
旧三洋電機時代を含めると、パナソニックと日本マクドナルドは40年以上の取引がある。岩渕氏は、「これだけ長い付き合いですので、困りごとがある場合でもお互いに何がしたいかをすぐに理解できます」と相互の信頼関係について自信をのぞかせる。
先に触れた大量換気のシステムは、郊外の大型店舗を中心に採用している。常に新鮮な外気を取り入れる天井埋込形ハイフレッシュと呼ばれる空気質にこだわったシステムだが、これも日本マクドナルドのリクエストを受けてパナソニックが提案したソリューションだった。
「そもそも、大規模な食品工場などに用いられるものですから、レストランではほとんど導入されていません。パナソニックに相談したところ、即座に提案していただきました。これは設計指針を含め、日本マクドナルドの店舗づくりを知っているからこその利点。仕様説明の時間もかからず、安心してお任せすることができます」(北村氏)
ナノイーX導入後、「店舗を利用するお客様や従業員からの反響は届いていない」と北村氏は言う。
「ナノイーXは目に見えないため効果が測りにくいものです。かと言って、シールを貼ってアピールするのもおかしい。逆に言えば、反響がないということは空間に自然に溶け込んでいるということ。むしろ、お客様に意識させずに空気の質を担保できていることは素晴らしいと思います」(北村氏)
日本マクドナルドはこれからも安全・安心な店舗づくりをめざしていく。北村氏は「それを支えるテクノロジーの1つとしてナノイーXの性能向上にも期待しています」と話してくれた。ナノイーX導入済みのマクドナルド店舗では「おいしい空気0円」が、当たり前なのである。