高周波に関する研究4選

肩コリ・腰コリ改善に関する臨床試験

1987年、東京大学医学部付属病院、及び筑波大学付属病院の協力を得て、高周波パルスが肩コリ・腰コリに与える影響を調べるため、63例に対して臨床試験を実施しました。この試験には二重盲検法という新薬の効果検証にも用いられる厳しい手法を用いました。この研究の結果、高周波パルスが肩や腰のコリに与える影響を確認することができ、論文にて発表されました。

※二重盲検法とは 医薬品らの効果を検証する場合、被験者の思い込みによる影響を分離するために、新薬と偽薬のグループを用意する。被験者には新薬と偽薬かそれぞれ知らせずに試験を実施し、効果を検証する手法。偽薬でも効果があると証言したらそれは思い込みによるものとなる。

0~1:ない、2~3:あるがほとんど気にならない、4~5:辛くはないが気になる、6~7:辛い、8~9:とても辛いが我慢できる、10:とても辛くて我慢できない

肩こり・痛み11段階評価表

※肩こり・傷みを6項目で表現し、その間の官能値に中間階段を設けた

棒グラフ:試験品と対照品(ダミー)の改善度の比較

実験結果

試験品と対照品(ダミー)で改善度に差が見られた。 3時間よりも5時間の方がより顕著に差がみられる。

試験品:高周波パルス照射あり
対照品(ダミー):高周波パルス照射なし

文献

西條 一止, 吉川 恵士, 宮本 俊和, 淺井 克晏, 松多 邦雄, 竹内 二士夫, 坂井 友実, 磯部 八郎, 宮本 昭正(1987).
高周波パルス電磁界のこりに対する治療効果 医器学,57,17-22.

高周波パルスが血管に対する作用の検証(血管拡張)

高周波照射実験による血管拡張効果の実証

コイル、受信コイル、発振コイル、オシロスコープ、電磁界発振器のイラスト

高周波パルスが人体に影響を及ぼす事は前の実験で検証できました。
その結果を元に、高周波パルスが血液循環に対して何らかの作用があるのではいか、と仮説を立てました。そこで、1988年群馬大学医学部の協力を得て、高周波パルスが血管に与える影響を実験的に調査しました。

写真:ノルアドレナリン注入前(A)と注入後(B)の血管収縮の様子

実験の方法としては、アフリカツメ蛙の水掻きに高周波パルスを照射し、毛細血管(微小循環)にどのような影響を与えるかを観測しました。
血管に与える影響が観察しやすい様に、予めノルアドレナリン等の血管収縮物質により毛細血管を収縮させました。

高周波パルス照射前 細動脈直径:36μm 高周波パルス照射後(100分間照射し、100分間放置) 細動脈直径:51μm 細動脈直径の百分率変化のグラフ 高周波パルス照射前 細動脈直径:36μm 高周波パルス照射後(100分間照射し、100分間放置) 細動脈直径:51μm 細動脈直径の百分率変化のグラフ

【グラフ】
高周波パルス照射後の血管収縮の変化(百分率)
ゼロに近づくほど血管は拡張していると言える

高周波パルスが血流に与える作用の検証(血行促進)

顕微鏡対物レンズ、透明耳介窓、ウサギ耳介、オシロスコープTektronix2215、受信コイル、ガラス製 顕微鏡ステージ、発振器HP3312A、発振コイル(Φ27mm)のイラスト

群馬大学との共同実験により、血管に与える作用(血管拡張)を確認できたので、血流にも作用するのではないか、と着目しました。1988年、国立公衆衛生院生理衛生学部の協力を得て、高周波パルスが血流速度に与える作用を検証しました。

写真:ウサギの耳に高周波パルスを照射した様子

実験方法として、ウサギの耳に高周波パルスを照射し、皮下組織の血管(皮下組織脈間網)の状態を確認しました。血流の状態を観察しやすい様に、予めウサギの耳に透明な円形窓を装着しました。

グラフ:細動脈血流速度 電磁界照射前 電磁界照射中 電磁界照射後

実験の結果、高周波パルスを照射すると、細動脈及び毛細血管の血流速度の増加が見られたことで、血行促進を確認できました。

文献

大久保 千代次, 浅野 巻茂 (1988).高周波パルス電磁界のウサギ耳介皮膚微小循環に及ぼす影響(1) 日本臨床生理学会雑誌,18,407-412.

高周波パルスの安全性に関する各種試験

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高周波パルスが人体や血管・血流に与える作用を検証してきたので、高周波パルスの安全性の確認試験も実施しました。1988年、国立公衆衛生院生理衛生学部の協力を得て、安全性評価を実施しました。

実験方法として、モルモットの腹部に機器を装着し、通常※の5倍に出力を高めた高周波パルスを4週間にわたって照射し、照射の前後で試験体に変化があるのか観察しました。

観察の結果、一般症状、体重変化、摂餌量変化、摂水量変化、病理組織学的所見から、特に異常は見られませんでした。

※ 9MHz

他にも、東京大学医学部付属病院と筑波大学付属病院の協力を得て、電磁界発生装置で人体に高周波パルスを照射する実験を実施。 動作サンプル(Active)と動作しないサンプル(Dummy)の各々の組合せにてサーモグラフィにより皮膚温の変化を計測しました。

この様に、約4年間に渡り高周波パルスの特性について様々な実験・検証を重ねてきました。

高周波に関する研究の歴史

パナコラン開発秘話

コリの原因とほぐし方