炊飯器の保温温度はどのくらい?温度が設定されている理由を解説
監修:Panasonic Cooking @Lab
ライター:UP LIFE編集部
2025年10月23日
食・レシピ
炊飯器には保温機能が備わっているため、炊いた後でも温かいごはんが楽しめますが、何度くらいで保温されているかご存じでしょうか。この記事は炊飯器の保温機能に着目し、保温温度や適切な使い方、また電気代について解説。さらに、保温ごはんのおいしさをアップさせる炊飯器や、低温調理もできる炊飯器もご紹介します。
炊飯器の保温機能とは?
現在のように保温機能付き炊飯器が登場する以前、炊きあがったごはんの保存には、余分な水分を吸収し、天然の殺菌作用で雑菌の繁殖を抑えられる木製のおひつが使われていました。
ただ、おひつには炊いたごはんが冷めてしまうという難点がありました。
そんな難点を解消しようと考えられたのが炊飯器の保温機能です。この機能は、ごはんの水分蒸発を防ぎ、雑菌の繁殖を抑えつつ、いつでも暖かい炊きたてのようなおいしさを長持ちさせます。
炊飯器の保温機能は、家族の食事時間がバラバラのときなどに重宝しますが、何度くらいの温度で保温されているのでしょうか。
炊飯器の保温温度はおよそ60~74度
炊飯器の保温温度は、メーカーや機種によって異なりますが、約60~74度に設定されているものがほとんどです。保温温度を変えられる炊飯器もありますが、細かく温度変更できるわけではありません。
保温温度が設定されている理由
多くの炊飯器の保温温度が約60~74度に設定されているのには、主に2つ理由があります。
雑菌が繁殖しにくいため
60度を下回る温度で保温すると雑菌が繁殖しやすく、ごはんが早く傷んでしまいます。雑菌の繁殖を抑えるために、多くの炊飯器の保温温度は60度以上に設定されています。
メイラード反応によるごはんの黄ばみを防ぐため
保温温度は高過ぎてもごはんをおいしく保温できません。温度が高い状態が続くと、ごはんに含まれる糖とアミノ酸が結合する「メイラード反応」が起きます。そうなるとごはんは黄ばみ、香りも損なわれてしまうため、多くの炊飯器の保温温度はメイラード反応が起きにくい約74度以下に設定されています。
保温にかかる電気代は1時間あたり約0.6円
保温時間が長くなるほど電気代がかかります。電気代は電力料金と使用時間で算定できます。公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が定めている目安単価は、31円/kWh(税込)*です。一般的な5合炊き炊飯器の場合、1時間あたりの保温時消費電力量は13Wh~20Wh程度のため、1時間保温すると0.5円ほどかかることになります。
ちなみに、炊飯器でお米を炊くときの電気代は1回あたり約5円。10時間以上保温するなら2回に分けて炊くか、まとめ炊きしてすぐに冷凍保存するほうが電気代を抑えられます。
*2022年7月改定
ごはんはどれくらいの時間保温できる?
炊き上がったごはんは、メーカーや機種によっては24時間程度保温できるとされているものもありますが、長時間の保温はおすすめしません。長く保温するとどうしても味や風味が落ちてしまい、さらにごはんが傷みやすくなってしまいます。お使いの炊飯器ではどれくらいの時間保温できるか、取扱説明書を確認しておくとよいでしょう。
炊飯器で保温する際の注意点
便利な炊飯器の保温機能ですが、使用の前に注意した方がよいこともあります。
ここでは、保温機能で気を付けたいポイントをご紹介します。
開け閉めは最低限に
保温機能の使用中は、蓋の開け閉めは最低限にしましょう。
蓋を開けるたびに釜の内部温度が下がり、雑菌が繁殖するリスクが高まるので注意が必要です。
しゃもじを入れたまま保温しない
保温の際にしゃもじをいれたままにするのはNGです。
ごはんをよそう際に使用したしゃもじには、目には見えない雑菌が付着しています。
雑菌がついたしゃもじを釜の中に入れて保温してしまうと、しゃもじに付着していた雑菌が釜の中で増殖し、ごはんの傷みの原因となります。
白ごはん以外は保温しない
炊飯器によっては「白ごはん」以外にも、「おかゆ」や「炊込みごはん」などの調理も行えますが、
「白ごはん」以外の保温はおすすめできません。
特に「炊込みごはん」は調味料を使用してつくることから、「におい移り」や「ふたの錆・パッキンの劣化」などの故障につながる可能性があります。
メーカー規定の保温時間を守る
保温時間はメーカーの規定を守りましょう。
規定した時間を越えて保温を続けてしまうと、ごはんのにおい・黄ばみ・乾燥や傷んだりする原因になります。
保温機能を使わずごはんを保存すると
長時間保温機能を使うと、ごはんは乾燥して固くなったり黄ばんだりして、味や食感が悪くなりがちに。それなら保温機能を切った状態でごはんを保存すればいい、と考える方もいるかもしれませんが、おいしく保存はできません。炊飯器の保温機能を切ると、炊飯器内が冷めるときに結露するため、ごはんはべちゃべちゃの状態になってしまうのです。さらに密封状態でごはんがゆっくり冷えていくときは雑菌が繁殖しやすい状態でもあるので、傷みや臭いの原因になります。
保温しない場合は早めに冷凍
炊いたごはんをしばらく食べない場合には、冷凍保存がおすすめです。ごはんが温かいうちに、あとで使いやすいようにお茶わん1杯分(約150g)ずつラップに載せて、潰さないよう平らに広げて包みます。
ラップに包んだごはんが人肌ぐらいまで冷めたら、冷凍庫に入れて保存しましょう。その際、アルミ皿などに載せて急速に冷凍するとごはんの劣化を抑えて保存することができます。
ごはんの上手な保存方法はこちらの記事をご参照ください。
パナソニックの炊飯器は30時間の保温でもおいしさキープ
SR-X910Dの「うるおいキープ保温(30時間)」は、リアルタイム赤外線センサーで保温中のごはんの量を正確に見極め、釜内の温度を自動でコントロールします。そのため、時間が経ってもべたつきや乾燥を防ぎ、ふっくらとしたおいしさを保ちます。
さらに、ボタンひとつで簡単に再加熱できるので、いつでもアツアツのごはんを楽しめます。加えて、「露やにおいを抑えるモード」や「変色・乾燥を防ぐモード」など、好みに合わせて細かい設定が可能です。
「冷凍用ごはん」コースも搭載
SR-X910Dは、冷凍ごはんにありがちな「再加熱時のべたつき」や「粒が固くなる」といった悩みを解消する「冷凍用ごはんコース」を搭載しています。
まとめ炊きして冷凍保存しても、再加熱後にふっくらとしたおいしさが続くため、忙しい日の食事準備にも安心。毎日のごはんを、より便利に、よりおいしく楽しめます。
まとめ
炊飯器の保温機能は便利ですが、長時間ごはんを保温するとおいしさが損なわれてしまいます。長時間保温になりそうなら、早めに冷凍保存することでおいしさが保てるだけでなく、電気代の節約にもつながります。
この機会に、毎日の食事のおいしさと楽しさを追求してみてはいかがでしょうか。
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2025年10月23日 食・レシピ
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