【理学療法士監修】腰痛のストレッチ7選|寝ながら・座ったままできる簡単な方法
監修:新田 智裕
ライター:UP LIFE編集部
2026年8月28日
健康
日本人の多くが抱える「腰痛」。腰痛対処の情報は多く、迷う方も多いのではないでしょうか。今回は、腰痛におすすめのストレッチ7選をはじめ、腰痛と関係する筋肉、寝ながら・座ったまま・立ったままでできるストレッチ、腰痛予防に役立つ筋トレについて、理学療法士の新田智裕先生にお聞きしました。
ストレッチで改善できる腰痛
一度はじまるとしつこい痛みがつきまとう腰痛。長年、慢性的な痛みに悩まされている方も多いでしょう。腰痛改善の情報としてストレッチなどさまざまな選択肢がありますが、そもそもストレッチで腰痛は軽減するのでしょうか?
「ずばり、多くの腰痛がストレッチで改善が期待できます。すべての腰痛が治るわけではありませんが、腰痛にはさまざまな原因があるなかで、筋肉の硬さが関係しているケースでは、ストレッチで硬くなった筋肉を伸ばせば痛みが軽減していきます」と新田先生。
ストレッチが腰痛改善に役立つ理由
腰痛の背景にあるのは、硬い筋肉によって骨盤や背骨の動きが制限され、特定の部位に負担が集中してしまうこと。この状態にストレッチをかけると下記のような変化が起こります。
・骨盤と背骨の可動域が改善する
・筋肉周りの血流が改善し、疲労物質が流れやすくなる
・神経や筋膜への圧迫がゆるむ
痛みの原因にアプローチできるのがストレッチの強みです。
「湿布や電気治療は、痛みを一時的に和らげるメリットがありますが、ストレッチは筋肉の硬さという腰痛の原因に直接働きかけることができる。それがメリットですね」
ストレッチを避けた方がいい腰痛
しかし、ストレッチを避けるべき腰痛もあると新田先生は話します。
以下の腰痛はストレッチはせず、医療機関や専門家への相談がおすすめです。
・安静にしていても痛む、夜間や早朝に痛みで目が覚める
・足のしびれ、脱力、排尿、排便のコントロールが効かない症状を伴う
・転倒や事故など明確なきっかけがあり、動かすと激痛が走る
・発熱を伴う、じっとしていても痛みが増していく
上記のような症状では椎間板ヘルニアによる神経症状や圧迫骨折、感染症や腫瘍が隠れているケースがあります。
「私自身、病院に勤務していた頃、ただの腰痛だと思って自己流でストレッチを続けていたら骨折だったという患者さんに会いました。上記の症状がある場合は、ストレッチではなく整形外科の受診をお願いします」
デトックスにもつながる!腰痛とストレッチの関係
ちなみに水分摂取と腰痛にも関係があるそう。水分をしっかり摂り、ストレッチやエクササイズで筋肉を動かして血流やリンパの流れを促すことは身体に溜まった疲労物質の排出=新陳代謝を促すことにつながります。
「ストレッチによって筋肉を動かすことで疲労物質を押し出すことができるので、腰痛対策はデトックス的な側面があると思います。デスクワークの方は、水分の摂取量が減りがちで筋肉を動かす機会も少ないため、疲労物質が滞留しやすい状態が続きます。1時間に1回、コップ1杯の水を飲みながら立ち上がるだけでも疲労物質が流れやすくなるので、取り入れてみるとよいでしょう」
腰痛と関係する腰まわりの筋肉とは?原因となりやすい身体の特徴
腰痛を起こしやすい身体の特徴もあります。いくつか条件がありますが、骨盤や股関節が上手く動かせていない場合は腰痛のリスクが上がります。
具体的には…
・腸腰筋やおしりの筋肉など股関節周りが硬く、骨盤が前や後ろに傾いたまま
・お腹や背中の筋肉が弱く、自分で体幹を支えきれていない
・猫背や反り腰など、姿勢の癖がある
・座っている時間が長く、股関節を曲げた姿勢でいることが多い
・同じ姿勢で何時間もいる
・高身長で日本の生活環境が合っていない
腰の筋肉①「腸腰筋」が硬くなると腰痛が起こる理由
腸腰筋は、背骨から骨盤の内側を通り太ももの付け根につながる筋肉で、上半身と下半身をつなぐ重要な筋肉です。股関節を曲げたり、姿勢を保つ役割を担っていますが、座っている時間が長いと腸腰筋は縮んだ状態で硬くなっていきます。すると骨盤が前に引っ張られて反り腰になったり、腰椎のカーブが強くなりすぎて腰の関節や筋肉に負担がかかっていきます。
腰の筋肉② 「腰方形筋」が硬くなると腰痛が起こる理由
腰方形筋は、骨盤の上部から肋骨、そして腰椎の横にかけて縦につながる筋肉。身体を横に倒す動きや、片足立ちの時などに骨盤を安定させる役割があります。足を組んだり片側にカバンをかける習慣があると、腰方形筋の長さや硬さに左右差が生じてきます。骨盤も傾いたまま固定され、腰椎がねじれるようにストレスがかかり続けます。どちらか片側の腰が痛いという方は、腰方形筋が固まって身体が直立を保てていないケースがあります。
腰の筋肉③ 「脊柱起立筋」が硬くなると腰痛が起こる理由
脊柱起立筋は、背骨に沿って首から骨盤まで縦に伸びる筋肉群の総称。姿勢をまっすぐに保ったり、身体を反らす働きがあります。輪ゴムを伸ばしっぱなしにすると弾力を失うのと同様で、デスクワークで前かがみの姿勢が続くと、脊柱起立筋が常に引き伸ばされた状態で緊張が続き、血流が滞ります。その結果、硬く疲労した状態が慢性化します。また、背もたれを使わず良い姿勢を保つことで、脊柱起立筋が硬くなってしまうケースも。夕方になると腰が重だるくなる方は、脊柱起立筋が1日中働きづめになっていると考えていいでしょう。
腰の筋肉④ おしりの「梨状筋」「中臀筋」と腰痛の関係
おしりにある梨状筋と中臀筋は、骨盤を支えるいわば縁の下の力持ちにあたる筋肉。中臀筋が弱かったり硬いと骨盤が安定せず、歩くたびに左右にぐらつき、その揺れを腰の筋肉が支えようとして負担が蓄積します。また、梨状筋は坐骨神経のすぐそばを通る筋肉のため、硬くなると神経を圧迫し、お尻から太ももの裏にかけてのしびれ=坐骨神経痛を起こすことがあります。デスクワークの方は、お尻の中で神経が梨状筋に圧迫された状態になり、痛みにつながっている場合があります。
あなたの腰痛タイプをチェック
腰痛は大きく3つのタイプに分けられると新田先生。以下のチェック項目を確認して、ご自身の腰痛の傾向を確認しましょう!チェックが多いほど、そのタイプの腰痛を持っている可能性が高まります。
【タイプA】前かがみ・座りっぱなしタイプ
□長時間、座っていると痛みが強くなる
□前かがみになると痛む、つらく感じる
□朝より日中や夕方に痛みが強くなる
□座った状態から立ち上がる瞬間に痛みが出る
「タイプAは、前かがみの姿勢と座りすぎで起こる腰痛タイプです。前かがみが続くと、椎間板や腰背部へのストレスが増大し、骨関節や筋肉、筋膜にも大きな負担がかかります。座りすぎ型の腰痛は、腸腰筋や梨状筋の硬さや体幹の支持力低下が背景にあります」
【タイプB】反り腰・立ちっぱなしタイプ
□立ちっぱなしが続くと痛みが強くなる
□身体を反らすと痛む、つらく感じる
□朝起きた瞬間、身体が固まったように痛む
□歩きはじめや坂道、階段を下るときに痛む
「タイプBは、脊柱起立筋や腰方形筋の過緊張、反り腰の姿勢が原因の腰痛です」
【タイプC】混合・不安定タイプ
□前かがみにしても、反らしても両方痛む
□痛む場所やタイミングが日によって異なる
□長時間同じ姿勢を保つことがつらい(座っていても立っていてもつらい)
□ぎっくり腰を繰り返したことがある
「タイプCは、骨盤や体幹の安定性が低下し、姿勢の負荷を腰で受け止めている状態です。体幹の筋肉や中臀筋の機能低下が絡んでいることも多いですね」
腰痛におすすめのストレッチ7選 | 寝ながら・座ったまま・立ったままできる方法
腰痛のタイプがわかったところで、それぞれの腰痛タイプにおすすめの腰痛改善ストレッチを見ていきましょう。
「最初にご紹介するのは、Aの前かがみ・座りっぱなしタイプの方におすすめのストレッチ。梨状筋をターゲットにしたストレッチで、坐骨神経的な症状がある方にも有効です」
●タイプA /前かがみ・座りっぱなしタイプにおすすめ!
おしりストレッチ
①仰向けで両ひざを立てる
②片方の足首を逆側の足の膝の上に乗せる
③下側になっている足の太もも裏を両手で抱え、胸に引き寄せる
④上の足のおしりの奥がじんわり伸びるのを感じながら20〜30秒キープする。反対側も同様に行う
「次のストレッチは、タイプBの反り腰・立ちっぱなしタイプの方におすすめ。1日に3セットほど行えば、一時的に腰椎の反りをゆるめて、脊柱起立筋の緊張をリセットします」
●タイプB/反り腰・立ちっぱなしタイプにおすすめ!
両ひざ抱えストレッチ
①仰向けに寝て、両ひざを立てる
②両手で両ひざを抱え、息を吐きながらゆっくり胸に引き寄せる
③腰から背中にかけて伸びているのを感じながら、20〜30秒キープする
「最後 に紹介するタイプCの混合・不安定タイプは、もちろん、タイプA、Bの方にもおすすめ。動きに左右差がある場合は、痛くない方を先に倒し、そうでない方は無理のない範囲で行いましょう」
●タイプC/混合・不安定タイプにおすすめ!
腰ひねりストレッチ
①仰向けで両ひざを立てる。両手は横に大きく広げる
②息を吐きながら両ひざをそろえ、右へゆっくり倒す
③肩が浮かないところまで倒し20秒キープする。反対側も同様に行う
「タイプAや、前かがみ姿勢が続く⽅に取り⼊れやすい運動として、もっと簡単なものもあります。太もも前面にある腸腰筋や大腿四頭筋に効き、なおかつ寝ながらできるストレッチです。楽にできる運動なので生活に導入しやすいでしょう。ただし腰を反らすと痛みが出る⽅は避け、痛みのない範囲で⾏いましょう」
●実は一番おすすめ!うつ伏せ股関節ストレッチ
①うつ伏せになり肘を立てる
②そのままPC作業やスマホ、読書をする
③時々、膝をパタパタ曲げ伸ばしする
立ったままできる腰痛改善ストレッチ3選
次にご紹介するのは、立ったままでもできる腰痛改善のためのストレッチ。腰痛全タイプにおすすめです。
●壁を使って太もも前面をアクティブストレッチ
「10回1セット、仕事の合間にも行える簡単なストレッチです」
①足を肩幅に開いて、壁に背中をつけて立つ
②片足のひざを曲げ、そのまま壁に押しつける
③そのまま壁を軽く押す・戻すを繰り返す
●立位ランジで行う腸腰筋ストレッチ
「こちらは5回1セット。家事のすきま時間などに行ってみてください」
①テーブルなどに手をつき、片足を前にゆっくり大きく踏みこむ。
②身体を起こし、踏みこんだ足を元に戻す。反対側の足も同様に行う
●一番おすすめ!ひざ立ちデスクワーク
「ひざ立ちデスクワークは、座りっぱなしで硬まった骨盤と股関節の動きを全方向にほぐすストレッチです。各ストレッチの仕上げとして行うとよいでしょう」
①ひざ立ちの姿勢でPC作業やwebミーティングを行う
②上半身を動かさずに、腰を回したりひざを曲げ伸ばしする
デスクワーク腰痛におすすめのおしりケア
デスクワークと腰痛には切っても切り離せない関係があります。
おしりが硬いと腰痛になる理由
「デスクワークの方々に必ずお伝えしているのが、腰が痛いならまずおしりを疑ってくださいということ。座っている間、体重の多くはおしりの下にかかり続けます。圧迫され続けると梨状筋や大臀筋の血流は滞り、どんどん硬くなっていきます。硬くなったおしりの筋肉は骨盤の動きを制限、本来のおしりや股関節が担う動きを腰が肩代わりすることになります」
膝立ちデスクワークとうつ伏せ股関節ストレッチがおすすめ
腰痛の多くはおしりが働かなかった分のツケが腰にきている状態です。腰だけをストレッチしてもなかなか改善しない方は、おしりのケアが抜け落ちているかもしれません。おしりの硬さが原因の腰痛には、ご紹介したひざ立ちデスクワークとうつ伏せ股関節ストレッチがおすすめです。
腰痛予防におすすめの習慣と筋トレ
腰痛のためのストレッチが一通りわかったところで、普段の生活からも腰痛を予防したいところ。新田先生は日常のちょっとした動作を見直すことが、腰痛予防につながると話します。
●1時間に一度は立ち上がる
ストレッチをしても座りっぱなしが続けば効果は得られません。1時間に1度、1〜2分間立ち上がるだけで、骨盤周りの血流と動きが大きく変わります。
●足組みはOK、ただし左右均等に!
足組みも考え方次第だと新田先生。
「長時間同じ姿勢だと腰痛リスクが上がるので、足組みを利用してさまざまな方向に身体を動かすとよいです。足組みをする場合は、片側だけでなく均等に!30分に1度は姿勢を変えるきっかけとして足組みを利用してみましょう」
●適度な運動
ウォーキングなどの軽い有酸素運動は骨盤まわりの血流を促し、体幹の筋力維持にもつながります。
●睡眠環境を見直す
マットレスが柔らかすぎる場合は、腰が沈みすぎてリラックスできないまま一晩過ごすことになります。起床時に腰が痛む場合は、寝具の見直しもおすすめです。
地味だけど「日常から変える」が強い
「腰痛予防のための習慣は、とても地味かもしれません。しかしストレッチという点のケアを日常という線でつなぐことが一番効果的だと思います」
腰痛対策におすすめの筋トレ3選
ふだんから運動に抵抗がない人は、もう一歩踏み込んだ腰痛対策を。腰痛予防につながる基本の筋トレをご紹介します。
●腰痛の筋トレ① プランク
体幹を鍛え、腰椎を自分の筋肉で支えられる状態をつくる
①うつ伏せになり、ひじとつま先で身体を支える
②頭から足までが一直線になるよう意識し、お腹とお尻に力を入れる
③そのまま20〜30秒キープし、慣れてきたら少しずつキープする時間を伸ばしていく
●腰痛の筋トレ② ヒップリフト
おしりにある大臀筋を使う感覚を取り戻す
①仰向けになりひざを立て、腕は身体の横に置く
②おしりとお腹に力を入れ、ひざから肩までが一直線になるように意識しておしりを持ち上げる。腰は反らしすぎないよう注意する
③2〜3秒キープした後、ゆっくりおろす。これを10〜15回繰り返す
●腰痛の筋トレ③ ドローイン
腰を支える腸腰筋を鍛える
①仰向けでひざを立て、お腹に手を当てる
②息を吸ってお腹をふくらませ、吐きながらお腹をへこませてキープする
③お腹をへこませたまま呼吸を続け、10〜20秒キープする
筋トレといっても特別な道具はいらず、狭いスペースでもできるメニューばかり。在宅勤務の合間や、寝る前の布団の中でもできるので、ぜひ取り入れてみてください。
腰痛は改善できる!痛みのない毎日で快適に!
腰痛が改善すると生活の質が驚くほど変わると新田先生。
腰痛があると運動への回避行動でさらなる腰痛を生むことに
「臨床現場や私たちの施設をご利用いただいている方々を見ても、腰痛が改善するだけで生活や気持ちがガラリと変わります。人は腰が痛いと無意識に動くことを避けようとするものです。外出が減ったり、歩く距離が短くなったり、階段よりエレベーターを選んだり。こうした運動への小さな回避行動が積み重なると、筋力は落ち腰痛がさらに悪化してしまいます。腰痛が改善することで、生活がしやすくなったという声をたくさんいただいてきました。痛みの改善は、健康で豊かな人生を取り戻すことと同義だと考えています」
腰痛は身体のメンテナンスの機会、痛む前からストレッチを取り入れよう!
また新田先生は、腰痛は身体からのメンテナンスサインだと話します。
「車は2年に一度、家も10年に一度は点検します。しかしご自身の身体はどうでしょうか?健康診断は身体の今の状態をチェックする機会であり、身体を整えるメンテナンスではありません。腰が痛くなってから慌てるのではなく、メンテナンスとして今回ご紹介したストレッチを少しずつ習慣にしてみてください。1日5分、ベッドの上や座ったままでもできることばかりです。ご自身の身体と向き合う小さな時間を、ぜひ今日から作ってみてください!」
監修
新田 智裕(にった ともひろ)
理学療法士。総合リハビリ施設「BALENA」を運営。神奈川県の病院にて13年間整形外科分野のリハビリに従事した経験から、身体が壊れてしまう前にメンテナンスすることの重要性を痛感。足と靴に関する講演会活動や、WebメディアやSNSコンテンツをはじめとする監修・情報発信を行なっている。また、「理学療法士のいる靴屋さん」として、大手シューズメーカーの靴も取り扱い、100年歩き続ける足を育むためのさまざまな事業も展開している。
2026年8月28日 健康