染色家/京都光華女子大学短期大学部准教授 青木正明さん|シェーバー事業70周年記念モデル スペシャルインタビュー
「これがあるとくらしは、いい意味で非日常になる」
染色家/京都光華女子大学短期大学部准教授 青木正明が語る
ラムダッシュパームイン70th ANNIVERSARY EDITIONの魅力
それぞれの道で美を追求するプロフェッショナルたちに、「ラムダッシュパームイン70th ANNIVERSARY EDITION ES-PV70」を体験してもらい感じたことをお話しいただくスペシャルインタビュー。第2弾は、染色家にして京都光華女子大学短期大学部准教授の青木正明さん。古代の色彩を探索し続けている青木さんの目には、特別なラムダッシュパームインはどのように映ったでしょうか。
#PR ※弊社から青木正明さんに依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。
染色家/京都光華女子大学短期大学部准教授 青木正明さん
天然色工房tezomeya主宰、古代の色彩と染色技術を探索する染色家。古い文献の調査に加え、科学的なアプローチも用いて染色を探究し、技法を確立。大学教員としても活動し天然染料の魅力の普及に努めている。
この色には天然染料のような美しさを感じる。
青木さんにとって、美しい色とはどんな色でしょうか。
青木:
僕、専門が、平安時代とか奈良時代とか古代の染色技法の探索なんですけど、あの時代の天然染料の色って、皆さんが想像している草木染とは違っていて非常に鮮やかなんですよ。
1300年たっているのにいまでも真っ赤だったり真紫だったり、きれいなんですね。とても美しい色が残っているのですが、いまの合成染料ではなかなか出せない。というのも、ビビッドな赤の中に何か他の色がいるんです。ビビッドな鮮やかな紫の中に何か他のものがあるので、ただの合成染料とは違うんですね。
昔の平安時代の染師って大量の染料を使うんですよ。たかだか反物一反染めるためだけに、乾燥した植物を何十キロも使う色とかあるんですね。それで恐らく最低でも40回ぐらい染めているはずなんです。
そうすると植物っていろんな色が入ってしまうから、どんどん色ってくすんでいくはずなのですが、それがきれいな赤だったり、びっくりするような緑だったり、深い紫だったりするんですよ。
恐らく昔の人たちは、いまの化学の知識なんか何もないのに狙った色素だけを取り出して、あとは全部排除する方法を何か知っていたのではないかと思うんです。それでも、いくばくかのノイズの色はどうしても残るんですよ。そぎ落として、そぎ落として、そぎ落としたつもりだけど、やっぱり残っちゃった何かが入っているのが、あの平安時代の宮廷古代染色の美なんだと僕は思っています。
(ES-PV70には)そんな美しさに通じるものを感じます。美しいノイズというか、わざとらしくない不協和の感じがちょっとするなと。例えば、この赤紫。完全なるビビッドでもない、そこはかとない、いわゆるノイズっていうんですか。ほんの少しのノイズの感じが美しいなと思いました。デザイナーさんのいろいろな試行錯誤を感じますね。
染色においても、試行錯誤は大事ですか。
基本、全部トライ・アンド・エラーです。それはどのものづくりをしている方も一緒だと思います。
プラスチックっぽくない持ち感が、おもしろい。
実際にES-PV70を使っていただき、感想をお願いします。
青木:
普段はT字のカミソリを使っていて、実は電気シェーバーで剃るのは人生ではじめてなんですよ…あー痛くないんですね。もっと何かあるんじゃないかと思っていたんですが。適度な摩擦、適度な動摩擦感というか。ひげ引っ張られている感じは全然ないですね。だから正直、剃れているのかよく分からないですが…あ、剃れていますね。すごいな。いつものT字のより剃れている感じがあります。ちょっとびっくりですね。皮膚は持ってかないけど、うまいことひげだけ持っていって。
あと持ち感がおもしろいですよね。プラスチックっぽくない。ちょっとマット感とか、素材としての重み感があるというか。触り心地が石油由来の合成樹脂の雰囲気ではないのが、いい感じでびっくりですね。
こういう小物って、重量感が本当に大切だなって、よく思うんです。若干重い方が、人間は使うとき無意識のうちに意識を集中させて、落としにくくするとか、大事に扱うだとか、微妙な動きを使うとか。重みって本当、重要だなと思うんです。そういった意味で、適切な感じがしますね。大きさと、この重みは。
それに、ちょっと湿り気のある感じで。陶器か石か、そんな感じの雰囲気がありますね。あとは、T字の形じゃないので剃りにくいんじゃないかと思いましたが、かえってこっちの方がいろいろ動かしやすくていいなと思いました。
いい意味で、意識が上がる感じがいい。
ES-PV70は、くらしにどんな色を添えると思いますか。
青木:
色は意識的なのか無意識なのか、狙っているのか狙ってないのか、気付いているのか気付いてないのかに関わらず、必ずその人の全ての行動を左右する重要な要素だと思います。
単純な話、「今日は、頑張ろう」と思ったときに赤い靴下とか履くとテンション上がるじゃないですか。誰にも気付かれていないかもしれないのに。だから、こういう(ES-PV70のような)色のものが、風呂場とか洗面台とかにあったら、すごくテンション上がると思うんですよね。
ひげ剃りってすごく日常のものだと思いますが、これ(ES-PV70)が洗面台にあっただけで、いい意味でちょっと非日常になる。だって、美しいじゃないですか。あることで、「ちょっと頑張ろうかな」という引き金になるんじゃないかな。日常に溶け込まない。いい意味で意識が上がる感じでいいなと思いましたね。