風を継ぐもの×全自動ディーガスペシャルインタビュー 脚本・成井豊さん
──長年演劇の世界で活躍されてきた成井さんが、初めてアニメの脚本を手がけると聞いたときは驚きました。成井さんはこれまで、どのようにアニメに触れてきましたか?
アニメファンの方に比べたら全然少ないと思いますが、特撮やアニメで育った世代なので、20代までは話題になった作品をだいたい見ていたと思います。2、3歳の頃の「鉄腕アトム」に始まり、タツノコプロの「紅三四郎」もよく見ていたし、永井豪さんが好きだったので「マジンガーZ」にも夢中でした。でもその後は、スタジオジブリとピクサー・アニメーション・スタジオ作品は観ているものの、アニメにはほぼ触れてこなかったですね。
──では、「風を継ぐもの」の脚本のオファーを受けた際はどう感じましたか?
アニメの脚本をやったことがなかったので「僕にできるのかな?」とは思いました。でも「新選組の物語の決定版を作りたいんです」とお話をいただいたので、「それならできるかもしれない」と。アニメの書式がわからなかったので、「風を継ぐもの」の制作に関わるアニプレックスさんから、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」と「魔法少女まどか☆マギカ」の脚本をお借りして、内容を照らし合わせながらアニメを観たんです。もう、びっくりしましたね!「まどか☆マギカ」は「すごい作品だ」と聞いてはいたものの、「アニメだしな……」と先入観を持っていましたが、3話の展開には衝撃を受けました。そして「あの花」には、「若い人たちはこういうものに感動するんだな」と勉強させてもらいましたね。今作の脚本を書いてからはアニメをよく見るようになって、この間は「進撃の巨人」を10日間でイッキ見したし、「エヴァンゲリオン」シリーズや「チ。―地球の運動について―」「チェンソーマン」など……話題になっている作品をいろいろと観ています。
──「風を継ぐもの」を拝見して、成井さんが舞台で描いてきたような、登場人物たちの生き生きと躍動する魅力を感じました。主人公は成井さんが手がけた新選組の舞台「立川迅助シリーズ」と同じく立川迅助ですが、今作はオリジナルTVアニメということもあり、舞台の迅助とは相違点も多くあります。どのようにストーリーを組み立てていったのでしょうか?
プロデューサーや河村(友宏)監督から「こういうものを作りたい」とたくさんお話を伺って、それを自分の中でこねくり回しているうちに、できあがっていきました。舞台の「立川迅助シリーズ」をアニメ化しようとしたわけではないですし、執筆にあたって映像や台本を見返したりもしていませんが、今回も迅助を主人公にすることは、僕が提案しました。新選組の物語を作ろうとすると多くは沖田、土方、近藤が主人公になるんですが、いわゆるヒーローを主人公にするのは嫌だったんです。
──足が速いという点は舞台の迅助と変わらずですが、大きく異なるのは、迅助が記憶喪失だということですね。
記憶喪失という設定は、割とすぐに決まりました。自分がここまできちんと記憶喪失を扱うのはほぼ初めてで、本人の感覚を想像してみたんです。そうしたら、「すごく怖いだろうな」と思ったんですよ。幕末の京都には、人の死や殺人がとても身近にある。勤皇派の浪士たちと戦わなければいけない新選組の隊士が記憶喪失になるなんて、相当恐怖を感じるだろうな、と。それをきちんと描くことで、視聴者の共感を呼べるのではないかと思ったんです。
──だから主人公に、ヒーローではない存在を据えたのですね。実際に脚本を手がけて、舞台とアニメの違いを大きく感じた部分はありますか?
「立川迅助シリーズ」第1作の「風を継ぐ者」は素舞台にテープを貼っただけのシンプルなつくりで、だからこそ人物はリアルに描きたいと思っていました。でも数百人規模の劇場で公演を行うので、役者たちはどうしても大きく演じる必要があります。それに比べてアニメでは、より登場人物を生々しく感じるというか、身近な存在に感じられる感覚がありました。「風を継ぐもの」はアニメの中ではテンポが速い作品かもしれませんが、舞台のほうがもっと展開が速いので、アニメではより心理描写を丁寧にできる印象を受けましたね。映像では脚本からさらに細やかな表現になっていたので、「さすが河村監督!」と思いました。
──キャスト陣は、迅助役がSnow Manの佐久間大介さんということも目を引きますが、沖田総司役に梶裕貴さん、小金井兵庫役に悠木碧さん、土方歳三役に内山昂輝さん、近藤勇役に中村悠一さんなど、とても豪華な顔ぶれですよね。アフレコには立ち会いましたか?
2回だけ行きました。それが……僕は声優さんに詳しくなくて、SNSで「豪華キャストだ」という反応を見て、「豪華なのか!」と思ったくらいなんです(笑)。アニメをよく見るようになったものの、まだ正確に誰が誰なのか認識できていない。テレビを観ないので、Snow Manのこともまったく知らなくて。唯一(原田左之助役の)土屋神葉くんだけは、僕の芝居に出てくれているので知っていたんですけどね。
──ちなみに梶さんは「進撃の巨人」、悠木さんは「魔法少女まどか☆マギカ」と、成井さんがご覧になったアニメ作品で主演を務められています(笑)。
そうなんですか! 今初めて知りました(笑)。アフレコでは皆さんとてもリラックスされていて、お知り合いの方も多いのか、和やかなムードでしたね。僕が一番緊張していて、挙動不審だったと思います(笑)。
──(笑)。ではきっと、キャストの間で隊士たちの絆も自然に生まれていったのでしょうね。
そうなんでしょうね。チームワークが大事な作品だと思いますが、楽しく取り組んでくださっていてうれしかったです。
──ご自身が書いたキャラクターに声で命が吹き込まれて、どのように感じましたか?
執筆中は脚本だけに集中してしまうので、実際に声を出したときにどうなるかまで細かく想定しているわけではないんです。でも実際にアフレコや完成した映像を見ると、自分がイメージしていたものとは少しずつ違う存在感になっていましたね。一番僕のイメージに近かったのは、迅助でした。すべて想定通りだったら面白くないし、違っていていいのですが、仮に主人公がイメージからすごくかけ離れていたら、残念に思ったと思います。でも佐久間さんの迅助は期待通りで、すごくうれしくて。最初は佐久間さんがアイドルをなさっているとお聞きして、正直どんな迅助になるか想像ができなかったんです。普段イケメンと言われている方なので、カッコ悪い演技のイメージができなくて……。でも、それは杞憂でしたね。第1話から、カッコ悪く情けない迅助をしっかりと演じてくれていました。
──自然な演技で、迅助の人柄がよく伝わってきました。佐久間さんはアニメをとても愛している方なので、リスペクトを込めて演じられたのだと思います。
なるほど! だから大胆にああいう表現ができるんですね。第1話の迅助なんて、泣くし、逃げるし、散々に書いてしまったのに(笑)、期待以上に演じてくださって、とてもうれしかったです。
──「風を継ぐもの」は、Live2Dとセルアニメーションの技術を融合して制作されています。美麗な映像も見どころですが、完成した映像を観た際はいかがでしたか?
事前にイメージボードを見せていただいたときは、いまひとつ実感が湧かなかったんです。でも作品に携わり始めて1年以上が経って、完成した第1話を観たときに、すごく感動しました。そして先日第4話までをまとめて見せていただいて、この作品がどういうものなのかがやっとわかったんです。美術はとても美しいけど、人物たちの線はシンプル。そのコントラストも面白いし、戦いの場面は容赦なく描かれていて。斬新だと感じましたね。
──特に感動したシーンを挙げるとすると?
やっぱり殺陣ですね。想像以上にしっかりと映像化してくださっていたんです。例えば刀がチャリンとぶつかる際に光だけでごまかしてしまうとか、実写作品ではアクションが苦手な俳優さんのために寄りでカット割りを細かくするとか、そういうこともあると思うのですが、「風を継ぐもの」では殺陣をしっかり描いてくださっていて。冒頭の沖田と浪人たちの殺陣なんて、ちゃんと斬ったのか、どう斬ったかまで全部見せている。ごまかさないで映像化してくださっていて感動しました。
──全自動ディーガ「DMR-2X610」では録画した番組をクラウドに保存し、大切な番組を安心して残すことが可能です。成井さんがご自身の作品や他作品を鑑賞される際に、「映像を手元に残しておいてよかった」と感じたエピソードがあれば教えてください。
自分の作品で言うと、VHSで残っているもののうち一番古いものは1990年12月の公演だと思うのですが、僕は過去の映像はほとんど観なくて。でも、大好きな「となりのトトロ」は、100回以上観ているんですよ(笑)。自分の生涯ベスト3シネマをあげるとしたら全部宮崎駿監督の作品で、「となりのトトロ」「ルパン三世 カリオストロの城」「天空の城ラピュタ」。この3本はクラウドに保存して、いつでも観られるようにしたいですね。落ち込んだときも好きな作品に触れることで、元気を取り戻せるじゃないですか。僕は若い頃、挫けそうになったときは必ず世界名作劇場の「赤毛のアン」で元気を取り戻していて、すごく助けられていたんです。そんなふうに自分にとって元気が出る作品を、困ったときにパッと観られるように入れておくといいと思います。
──また「DMR-2X610」には、好きなシーンだけを自由につなげることができるプレイリストが備わっています。「風を継ぐもの」を録画して何度も見返す視聴者の方もいらっしゃると思いますが、プレイリストとしてまとめて、何度も堪能してほしいポイントを挙げるとすると?
脚本家としては正直、特定の場面を繰り返し見てほしいというよりは「全部面白いので、最初から最後まで全部観てほしい!」というのが本音です(笑)。僕は大好きな「となりのトトロ」はどこを観ても泣いちゃうし、絶対に全編を通して観たいんです。それと同じ思いですが……あえてピックアップするならば、やはり殺陣がすごいので、全話の殺陣シーンを選り抜いて「『風を継ぐもの』殺陣集」を作ってみたら、きっと面白いと思いますよ。後半に向けて殺陣が増えていき、クライマックスも見応えたっぷりなので、楽しみにしていてほしいです。
──特定のキャラクターが好きな人は、そのキャラクターの名場面をピックアップしてプレイリストにする、なども楽しそうですね。
いいですね。新選組のキャラクターはみんな好きですが、実は当初、新選組の人数が多いから、斎藤一は出さない予定だったんです。でも脚本を書き始める直前に河村監督から「斎藤も出してください」と言われて。どんなキャラにするか悩んだのですが、「しゃべらない設定にしたら、深く考えずに済むかな」と思い、滅多にしゃべらない設定にしたんです。そうしたら隊士たちが出てくるたびに斎藤でオチを作らなきゃいけなくなって、自分の首を絞めちゃった(笑)。
──なるほど(笑)。
だから……しゃべらない斎藤のリアクションを集めて、「斎藤集」を作ったら面白いと思います(笑)。斎藤の見た目もまたカッコいいんですよね。振る舞いはおかしいんだけど、ヘタしたら隊士の中で一番カッコいいくらいに描かれている。そのギャップもすごくいいですよね。
──成井さんにとって、新選組の魅力とはどんな部分にありますか?
そうですね……僕は20代後半に、司馬遼太郎さんが長州藩を描いた「世に棲む日日」や「花神」などの小説を読んで、幕末に興味を持ったんです。自分が元教師ということもあって、特に教育者としての吉田松陰が好きでした。それから30代になって「燃えよ剣」を読み、「この時代にこんなにピュアに振る舞えるなんてすごい」と、新選組に対して思ったんです。歳を重ねてさらに、日本文化や武士道の素晴らしさを感じるようになりました。もちろん武士道にもさまざまな欠点があると思うし、僕が若い頃は「幕府は傲慢だった」「江戸時代は身分差別がひどかった」と、何かと否定されがちだったんですよね。でもこの歳になってようやく、日本のいい面を肯定できるようになって。新選組がやったことは、行き過ぎていた部分はあったとしても、決して間違ってはいない。彼らは自分たちが信じた正しい道をちゃんと進んだ。僕は新選組の“滅びの美学”ではなく、そこが好きなんですよね。
──レコーダーを使用している方が、「壬生浪士組」「新選組」などのワード検索で、作品に偶然出会うかもしれませんね。
うれしさと怖さが半々ですね。登場人物と現実の隊士はイコールの存在ではないですが、僕は新選組のみんなが好きだし、尊敬しているので、それぞれを冒涜するようなキャラクター付けはしていないつもりです。細かい部分が気になる方もいるかもしれないけれど、観ていただいた方には喜んでいただけるんじゃないかと思っています。
全自動ディーガ ラインアップ
※1 DMR-2X610の場合。
【全自動モデルに関する注意事項】
• 「全自動ディーガ」とは、「全自動録画」機能を使って予約なしで複数のチャンネルを同時に自動録画する当社製レコーダーを指します。有料放送を全自動録画する場合は、有料放送事業者との視聴契約が必要です。また、データ放送は録画できません。通常録画と全自動録画で同じ有料放送の番組を同時に録画する場合、視聴・録画用と全自動録画用のB-CASカード2枚ともに契約が必要になります。
【BS/110度CSによる4K・8K放送について】
• 本サイト掲載のブルーレイディスクレコーダー(4Kチューナー内蔵モデルを除く)には、BS/110度CSによる4K・8K放送(4K8K衛星放送)の受信および録画機能、録画した映像の再生機能は搭載されていません。
• 4Kチューナー内蔵モデルには、BSによる8K放送の受信および録画機能は搭載されていません。
• 記載されている各種名称、会社名、商品名などは、各社の登録商標または商標です。
• 機能説明写真、シーン写真、イラストはイメージです。