日本のファッション史に見るアイロンの歴史

日本のファッション史に見るアイロンの歴史 日本のファッション史に見るアイロンの歴史

時代と共に変化する日本のファッションとパナソニックのアイロン事業

日本人の衣生活が和装から洋装へと移り変わった1920年代、パナソニック(当時は松下電気器具製作所)は初めてのアイロン「スーパーアイロン」を発売しました。
それから約90年、ファッションの移り変わりとともに、アイロンの形も進化してきました。パナソニックのアイロンの軌跡を、当時の開発秘話や日本のファッション史の時代背景と共に紹介します。

1920~1970年
和装から洋装へ。そして若者ファッションへ。アイロン発売開始。

銀ブラ・和装と洋装の女性たち(1934)、みゆき族・銀座みゆき通り(1964)・既製服が定着(1969) 銀ブラ・和装と洋装の女性たち(1934)、みゆき族・銀座みゆき通り(1964)・既製服が定着(1969)

西洋文化の目覚め〜モガ・モボの時代

洋装化が一部の上流階級の男性のものから一般人へと広まったのは1920年代のことでした。東京・銀座を中心に「モダンガール(モガ)」「モダンボーイ(モボ)」とよばれる若者が登場。
消費文化の萌芽とともに、洋裁雑誌やスタイルブックで紹介された服を仕立てようと洋裁学校が大人気になりました。

銀ブラからフラワームーブメントへ

1964年頃には銀座に「みゆき族」が台頭。百貨店が次々とディオールなど海外ブランドとライセンス契約を結び、海外ファッション情報が身近になっていきました。
エレガントなスタイルに憧れる若者ファッションはその後、ヒッピーカルチャー、フラワームーブメントとともにストリートへと変化していきます。

<ファッション年表>

  • 1917年 『主婦之友』(主婦の友社)創刊
  • 1918年 「銀ブラ」が「新しい言葉の字引」に登場
  • 1919年 日本で最初のファッションの学校、文化服装学院開学
  • 1927年 日本で初めてのファッションショーが三越で開催される
  • 1945年 終戦。『婦人画報』復刊
  • 1964年 東京五輪開催、『平凡パンチ』創刊。「みゆき族」台頭
  • 1967年 ツィギー来日。ミニスカートが大流行した
  • 1969年 玉川高島屋SC開業。池袋パルコ開業
    川久保玲、コムデギャルソン開始

アイロンの発売開始

1927年
アイロン1号機「スーパーアイロン」

当時、電気アイロンは高級品。手頃な値段で品質のよいものを届けようという創業者・松下幸之助の信念のもと「スーパーアイロン」が作られました。

アイロン1号機「スーパーアイロン」
スーパースチームアイロン(SS-1)
1954年
スーパースチームアイロン(SS-1)
手芸用ベビーアイロン(NI-17)
1962年
手芸用ベビーアイロン(NI-17)
ハンドスチーマー(NQ-1)
1971年
ハンドスチーマー (NQ-1)
カセット式タンク搭載スチームアイロン(NI-7000)
1979年
カセット式タンク搭載スチームアイロン (NI-7000)

<ファッショントリビア>

パルコの誕生

日本初のファッションビル、パルコがオープンしたのは1969年。 “銀座の街並みを縦に重ねた新業態”として若い女性を応援しようと開業しました。
そのコンセプトの完成形が1973年にオープンした渋谷パルコ。当時何もなかった代々木公園に向かう通りをはじめ、スペイン坂やサンドイッチ通りなど通りにネーミングを施し、「見る、見られる都市空間」を演出。ファッションビルの核として西武劇場(のちのPARCO劇場)を設け、街=劇場の象徴に。

街=メディアへ

イヴ・サンローランをはじめ、国内外のデザイナーのブティックやカフェなどが出店し、若者カルチャーとアートをクロスオーバーさせた広告、文化戦略が消費社会の発展と相まって大ヒット。渋谷=若者の街のイメージのきっかけをつくりました。 

流行と「考現学」

1977年『月刊アクロス』発刊。トレンドの兆しを街や人からよみとこうと、今和次郎の考現学を現代版にアレンジした「定点観測」を1980年からスタート。以後毎月、渋谷、原宿、新宿の3地点で同時に街を行き交う若者たちを観察・スナップし、インタビューを行っています。
2019年には新生渋谷パルコがオープンするなど、時代とともにアップデートしていますが、「街はメディアである」という哲学を持ち続け、現在も研究活動を続けています。

若者の街となった渋谷公園通りパルコ前(1977)、公園通りに設置された「自由の女神像」(1976)、1990年代のスペイン坂の様子・壁をギャラリーに見立てたウォールペインティング(1982) 若者の街となった渋谷公園通りパルコ前(1977)、公園通りに設置された「自由の女神像」(1976)、1990年代のスペイン坂の様子・壁をギャラリーに見立てたウォールペインティング(1982)

1970~1980年代
ストリートファッションの萌芽期。アイロンは必需品に

ジャポニズムをファッションとして表現した「KANSAI」(1984)、リボンやレースがかわいい「ピンクハウス」が大人気に(1984)、ボディコンシャスなファッションが女子大生に流行(1986)、スポーツブランドにストーンウォッシュデニムのティーンズ(1989) ジャポニズムをファッションとして表現した「KANSAI」(1984)、リボンやレースがかわいい「ピンクハウス」が大人気に(1984)、ボディコンシャスなファッションが女子大生に流行(1986)、スポーツブランドにストーンウォッシュデニムのティーンズ(1989)

ファッション=アイデンティティの時代

ヒッピーカルチャーは70年代、若者のアイデンティティの表現=ストリートファッションとして広がっていきました。
Tシャツにベルボトムのジーンズ、編み上げブーツというカジュアルなスタイルが女性にも大流行。「ジーンズ革命」とよばれ、その後、ホットパンツやパンタロンなど自由なスタイルを獲得。

カレッジファッション・ブーム

70年代後半には、グッチやルイ・ヴィトンなどヨーロッパの高級ブランドを志向する和製トラッドファッション「ニュートラ」、「ハマトラ」が流行。
一方、米西海岸のカルチャーを紹介する雑誌『ポパイ』の影響でスポーツカジュアルのタウンウエア化が進み、モノマニアックな価値観が発展していきました。

「個」の時代へ

80年代はポスト団塊の世代=新人類世代が「JJガール」や、「ニュー・ウェイヴ」、「DC(デザイナーズ・キャラクターズ)」、「ボディコンスタイル」など次々と新しいカルチャーが台頭。
ファッションだけでなく、さまざまな商品が「個」の時代として登場していきました。

<ファッション年表>

  • 1970年 『anan』 創刊。ジーンズ革命
  • 1973年 渋谷パルコ開業。刺繍やフリンジなどが特徴のフォークロアファッション流行
  • 1975年 『JJ』創刊。ニュートラ
  • 1980年 JJガール・ポパイ少年。ハマトラやプレッピー、カレッジファッション流行
  • 1982年 デザイナーズブランド最初のブーム、「カラス」族
  • 1985年 DCブランド大人気、お嬢様ブーム
  • 1987年 ワンレン・ボディコンブーム
  • 1988年 「渋カジ」登場、イタリアンインポート人気

アイロンはコードレス時代へ

1988年
国内初コードレス(NI-S2000L)

「コードが邪魔」という市場の声に応えて開発。嫌いな家事No.1のイメージを変えるべく、時短で使いやすいアイロンを目指し、日本初のコードレス化を実現しました。

国内初コードレス(NI-S2000L)
パワーショット搭載アイロン(NI-7800)
1983年
パワーショット搭載アイロン(NI-7800)
ファッションスチーマー(NI-10)
1988年
ファッションスチーマー(NI-10)

1990~1999年
自由で自己流。ストリートカルチャーの時代

「シャネラー」登場。ハイブランドがストリートファッションに(1995)、「シノラー」ブームはローティーンにまで浸透(1995)、女子高生ブームのメッカとなった渋谷センター街(1998) 「シャネラー」登場。ハイブランドがストリートファッションに(1995)、「シノラー」ブームはローティーンにまで浸透(1995)、女子高生ブームのメッカとなった渋谷センター街(1998)

渋カジと団塊ジュニア世代

90年代はストリートカルチャーの時代。団塊ジュニア世代を中心に流行した「渋カジ」は、「何を着るか」から「どう着るか」の転換期でもありました。モノトーンのフレンチカジュアルや、古着・DIYカルチャーを背景とした独特のコーディネート感覚が際立ち、リメイクや自分流のケアも一般化。

女子高生ブームと裏原宿ブーム

90年代半ばになると高校生(特に女子高生)カルチャーがポスト団塊ジュニア世代を中心に大ブームに。そのメッカとなった渋谷センター街は毎日マスコミの取材で賑わい。その後、コギャルブーム、ガングロギャルブームの発展を促しました。一方、裏原宿系ブランドやインディーズ系のデザイナーズブランドも大流行。

渋谷と郊外カルチャーの発展

94年の東京コレクションに若手デザイナーがたくさんデビュー。また、90年代を境に、セレクトショップの出店も加速。“シブヤ的なカルチャー”の拡散から独特の郊外カルチャーへと発展していきました。98年には、ユニクロが初の新型店舗「ユニクロ原宿店」を開業。

<ファッション年表>

  • 1990年    新宿にバーニーズニューヨーク、渋谷明治通り沿いにユナイテッドアローズ開業。「渋カジ」後期。紺ブレ人気。女子高生スタイル
  • 1992年    コギャル(LAスタイル)台頭。パラギャルへ。ルーズソックス登場
  • 1994年    インディーズブランドブーム。東京コレクションに多くの新人デザイナーがデビュー。ソフトパンク
  • 1996年    渋谷109大リニューアル。『Cawaii』創刊。コギャル全盛。シノラー登場
  • 1997年    女子高生ブーム。ストリートのスタイルがコギャルとネオDC系の二大勢力に分化。裏原系全盛
  • 1998年    ユニクロ原宿店開業。楽ちんスタイル
  • 1999年    ガングロ・ヤマンバ増加。スカートオンパンツのミックススタイルが台頭
  • 2000年    ファッションの“スーパーフラット化”。リアルクローズの時代へ

アイロンはニーズに合わせて進化

システムコードレスアイロン(NI-ST1)
1991年
システムコードレスアイロン(NI-ST1)
コンパクトコードレススチームアイロン(NI-CL10)
1998年
コンパクトコードレススチームアイロン (NI-CL10)

2000~2022年
ファッションという概念の転換期。アイロンの形も進化

コギャルカルチャーは2000年代に継承(2007)、レースやフリルを多用したかわいいモテ系スタイル(2011)、お揃いファッションを「コスプレ」。シミラールック(2014) コギャルカルチャーは2000年代に継承(2007)、レースやフリルを多用したかわいいモテ系スタイル(2011)、お揃いファッションを「コスプレ」。シミラールック(2014)

リアルクローズの時代

渋谷・神南や代官山、中目黒などに新品と古着・ヴィンテージをミックスした個性的なショップがたくさん開業し、着る人が主役の無理のない現実的な日常着=「リアルクローズ」の時代が到来。
ブログの登場で世界中でストリートスナップが流行。日本では、スキニーデニムにスウェットといったシンプル&ミニマルな新定番スタイルが人気となり、「カルチャー系女子」というトライブが誕生しました。

レイヤードスタイルの流行

スキニーパンツの上にスカートを重ねるボトムスのレイヤードスタイルが大流行。バッグやスカーフなどのアクセサリー、フラットなパンプス、ソックス・レギンスなど、服以外のアイテムの多様化を促します。
2000年代半ばは、トレンドや「美」をめぐる意識のエイジレス化やジェンダーレス化が進みました。

アフターインターネットの時代、流行は時空を超えて

時代は巡り、YouTubeやInstagramをはじめとしたSNSが急速に浸透。2010年代後半の新しいカルチャーを牽引するのはMZ世代の若者が中心に。
SDGsという時代のムードも後押しし、90年代生まれの90年代ファッションの再解釈ともいえる「ラグジュアリーストリート」や、白をベースになんでも自由に組み合わせる「スーパーミックス」の時代へ。

<ファッション年表>

  • 2003年    シンプル&ミニマムな新定番からの反動で、アシンメトリーなデザイントップスが大流行
  • 2004年    ストリートからエレガントへとトレンドが変化。「ZOZO TOWN」運営開始
  • 2005年    「セレブカジュアル」台頭。トーキョーモード系台頭。「東京ガールズコレクション」スタート
  • 2007年    ヌーディーカラー流行。ワンピース・ドレスなどリュクスな感覚が人気に
  • 2011年    ビッグシルエットの装いが人気に。東日本大震災。代官山 T-SITE開業
  • 2017年    アスレジャースタイル浸透。ノームコア。身体を鍛える人増加。GINZA SIX開業
  • 2019年    シャツスタイルやオールインワンなどメンズライクなスタイルが人気に。ミリタリー、ワークテイスト人気に。渋谷スクランブルスクエア開業、渋谷パルコリニューアルオープン
  • 2022年    ヴィンテージファッション大流行。世界初のメタバースファッションウィーク開催

アイロンの形はさらに進化

2010年
Wヘッド コードレスアイロン(NI-WL600)

使いやすさの追求から生まれた新たなアイロンベースの形。全方向にスムーズにアイロンがけができ、アイロンがけの負担も時間も減らすことに成功。

Wヘッド コードレスアイロン(NI-WL600)

2013年
衣類スチーマー(NI-FS300)

簡単にシワとりしたいというニーズに応え、サッと簡単に使える衣類スチーマーが誕生。家事の負担を軽減し、スチームによる「衣類ケア」で新たな需要を創造。

衣類スチーマー(NI-FS300)

ファッションの歴史:監修

高野公三子/TAKANO, Kumiko
株式会社 パルコ『ACROSS』編集長

パルコのファッション&カルチャーのシンクタンク『ACROSS』の代表。社内および関連会社、ならびに外部企業等から依頼を受け、リサーチや共同研究、コンサルティングなども行なっている。編集室の近著に『ストリートファッション1980-2020定点観測40年の記録』(PARCO出版)。昭和女子大学、文化学園大学講師。

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