屋外でマスクはいる? いらない? マスク着用時の熱中症対策とは

監修:清益 功浩
ライター:UP LIFE編集部
2022年9月5日 空気

暑さが増すにつれて心配されることのひとつが、熱中症。特に昨今は、なかなか手放せないマスクを着けていることで、よりリスクが上がると言われています。では、熱中症対策と感染対策を両立させるには、どのような行動を取ればよいのでしょうか? そして屋外で、あるいはスポーツ時にマスクは必要なもの? 最新の熱中症対策を、医師の清益功浩さんに伺いました。

暑い時期に心配な熱中症。新しい生活様式でさらに高まるリスク

写真:マスク

複数の条件が重なることで、リスクが高まる熱中症。気温ばかりが気になるかもしれませんが、実は湿度や輻射熱といった要素も大きく関わってきます。この3つの要素を取り入れた“暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)”が上がるほど、熱中症のリスクも高まるもの。中でも大きな割合を占める“湿度”が重要なことは、以前の記事でもお伝えした通りです。

熱中症を予防する3つの対策をおさらいしよう

熱中症にかかると体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもってしまいます。この状態に陥らないためには、

1:涼しい服装で体内の熱を放出しやすくし、直射日光を避けるために帽子などを着用する
2:屋外にいるときは、日陰で休むようにする
3:室内でも温度や湿度を測り、水分・塩分補給も忘れない

といった方法が効果的。以前の記事では詳細をご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

マスク着用の機会が増えたことで、熱中症リスクはどう変わった?

感染症対策としてマスクを着けるようになってから、熱中症のリスクはさらに上がっています。たとえば、マスクの着脱が面倒になって水分補給を怠る、とった経験がある人もいるのでは? これに加えて清益さんが危惧するのは、「のどの渇きに気付きにくくなる」ことだそうです。

「マスクを着けているとのどが乾燥しにくく、のどが渇いたと感じにくいもの。熱中症予防に欠かせない水分補給の頻度が減るだけでなく、熱中症のサインとなる脱水症状に気付けなくなる可能性もあリます」

また、「呼吸が妨げられ、体内の熱が逃しにくくなる」ケースも。

「哺乳類は基本的に汗をかくことで体内の熱を逃していますが、呼気も利用しています。マスクをすれば呼吸がしづらくなり、熱を十分に逃すことができなくなる場合があるので注意が必要ですね」

マスクだけじゃない! 外出が減ったことも一因に

コロナ禍で新しくなった生活様式のひとつに、外出頻度の低下もあります。家で過ごす時間が増えたことで危ぶまれるのが、筋力の低下。筋肉は多くの水分を蓄えられるため、筋肉が衰えるとそのぶん、体内の水分量も減ることになります。

また、外出頻度が減ることで、体を暑さに慣らしておきにくいというデメリットも生じます。エアコンの効いた室内でばかり過ごしていては、体が暑さに慣れる“暑熱順化”がうまく行えません。暑熱順化が進んでいれば発汗量などが増え、体内の熱を効率よく発散できるので、できれば暑くなる前に運動や入浴などで汗をかき、体を暑さに慣らしておきましょう。

「ただし、室内でエアコンを我慢して、暑さに慣れようとするのは良くないこと。室内でも熱中症にかかるリスクはあるので、エアコンは適切に使うようにしてください」

熱中症予防を考えると、屋外ではマスクを外すべき?

写真:水を飲む女性

熱中症のリスクが高まるとなれば、夏のマスク着用にはこれまでと違う配慮が必要になりそうですよね。清益さんによると、「大切なのは“適宜判断”すること」なのだとか。

「マスクを着けるか着けないかは、その場の環境を踏まえながら各自で判断することが大切です。ポイントは、距離と会話。屋外の場合、人との距離が2m以上あれば外してよいと言われています。仮に誰かとすれ違ったとしても時間は数秒なので、黙って歩いている分にはマスクは必要ないでしょう。また、屋内でも換気ができている場所で会話をすることがないなら、周りの状況を見ながら外してよいと思います」

マスクを着用した方がいいのは、どんなシーン?

「マスク着用が推奨されるのは、人と会話をする場合。また、自分自身が咳をしているときなど、飛沫が心配な状況では着用するようにしましょう。このほか、人が多い屋外や、人がまばらでも換気がきちんとされていない屋内などでは、できればマスクを着けた方が良いと考えられます」

感染症対策と熱中症対策を両立させる方法

「マスク着用時の熱中症対策としては、より一層こまめな水分補給が必要。また、気分が悪くなったらできるだけ人の少ない場所へ移動し、マスクを外して休憩をとるようにするようにしましょう」

屋外のスポーツで特に気をつけたいことは?

写真:親子

炎天下で行われることも多いのが、夏の野外スポーツ。野球のようにチームで行うものから、ジョギングなど個人でもできるものまでさまざまありますが、どのような熱中症対策が必要でしょうか?

塩分や糖分を含むスポーツドリンクで水分補給

「やはり、こまめな水分補給は必須です。スポーツの種類にもよりますが、団体で行うものならたいていインターバルをとっているので、その時間に水分をしっかり摂りましょう。ジョギングのように自分でペースを決めるスポーツでも、適宜休憩をとり、喉が渇いてなくても水分補給を行なってください。どちらの場合も汗で失われた塩分を補給できるよう、ただの水ではなく電解質(イオン)を含むドリンクを選ぶと良いでしょう」

気温の高い場所、照り返しの強い場所はさらに注意

「晴天時や気温の高い時間帯は、熱中症リスクがさらに高まるので、できればスポーツ自体を避けたいもの。無理な場合は、水分補給と休憩の頻度を上げるといった対策が必要です。また、アスファルト、テニスのハードコートといった照り返しの強い場所は、輻射熱でさらに体温が上がりやすくなるほか、無風の状態だと汗が蒸発しづらくなり、体の熱が逃げにくくなるのでより注意しましょう。

なお、屋内スポーツの場合は、閉め切った空間で湿度が高くなっていると、熱中症リスクが高まります。換気をしっかり行い、サーキュレーターを回して空気を循環させるといった対策をとるようにしてください」

スポーツをするとき、マスクは着けなくてもいいの?

「屋外スポーツの場合、感染が懸念されるのはスポーツの最中ではなく、ロッカールームなど人との距離が近くて接触しやすい場所と考えられます。また、選手同士の距離が近いスポーツの方が感染リスクは高いとも考えられますが、そもそも感染者がいなければ感染することはありません。つまり、体調に不安がある人は参加しないことが大切。

感染者がいない前提であれば、呼吸が苦しくなるマスクをスポーツ中に着ける必要もないでしょう。ロッカールームなど人が集まる屋内では着けるなど、状況を見てメリハリをつけてください」

夏の室内もマスクの着用で熱中症リスクが上がる

画像:マスクをつけた少女

屋内外に関わらず、条件さえそろえば熱中症の発症リスクは高まります。以前、清益さんに伺ったお話では、室内で暑さを避ける工夫のほか、エアコンや扇風機、サーキュレーターの上手な使い方など、環境を整えるアドバイスがありました。

「このほか、人ができることとして挙げるなら、やはりこまめな水分補給です。リモート会議などで席を立ちにくいことも多いでしょうから、飲み物はあらかじめ手元に置いておくようにしましょう」

感染症と熱中症、ふたつの不安を抱えている人へ

「新型コロナウイルス感染症も熱中症も、発熱の症状が見られるので、どちらの要因かをすぐに判断するのは難しいものです。ただ、この感染症はどこで感染してもおかしくない状況に来ていますが、少なくとも熱中症は予防できる病気。水分補給をはじめ、普段からの体調管理なども十分にしておけば良いのです。感染ゼロは難しい一方で、熱中症予防は確実にできることなので、この時期はしっかり対策していただきたいと思います」

清益 功浩

監修:清益 功浩

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院小児科・アレルギー科で診療に従事。論文・学会報告多数。インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。総合情報サイト『All About』家庭の医学ガイド。

2022年9月5日 空気

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