「夜間熱中症」とは? 寝ている間に起こる原因と症状、予防方法を解説

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夜間熱中症についての監修:坪田 聡(つぼた さとる)
ライター:UP LIFE編集部
2026年6月30日
空気

熱中症は日中の屋外だけでなく、夜の室内や就寝中でも発症することがあります。もし、起床して頭痛やだるさ、吐き気、めまいなどを感じることがあるなら要注意。この症状の原因を「ただの寝不足」と思っているかもしれませんが、実際は「夜間熱中症」が引き起こしている可能性があるんです。では、夜間熱中症にかかる原因は何なのでしょうか? 睡眠の専門家で医師の坪田 聡さんに、具体的な症状や予防策、エアコンの上手な使い方などと併せて教えてもらいました。

夜間熱中症とは、寝ている間や夜の室内で起こる熱中症のこと

写真:寝苦しそうな女性

坪田さんによると、「夜間から翌朝にかけて、主に室内で発生する熱中症」を夜間熱中症と呼ぶのだそう。聞けば、「夜は涼しい」「部屋の中だから安心」という油断から、気づかないうちに発症・重症化するケースが多く見られるのだとか。

日中の熱中症と夜間熱中症との違い

「夜間熱中症が発生しやすい時間帯は、21時ごろから翌朝の就寝中。日中の熱中症との一番の違いは、自覚症状のないまま、無防備な状態で進行する点です。睡眠中は脳や体が休んでいるため、暑さやのどの渇きを自覚できず、脱水が始まってもただの寝苦しさと勘違いしがち。異変に気づいて目が覚めたときにはすでに重症化しており、自力で動けなくなっているケースもあります。

症状も異なっており、日中にかかる熱中症は急激に倒れたりしますが、夜間熱中症の場合はジワジワと水分が失われ、寝覚めたときにだるさや頭痛などがあります。これは、寝ている間に大量の水分と塩分が失われたから。頭痛は脱水による脳の血流不足、だるさや吐き気は体温上昇による内臓機能の低下が原因です」

夜間熱中症にかかりやすい人

「年齢別に見ると、夜間熱中症のリスクが高いのは高齢者と乳幼児です。高齢者は暑さや渇きを感じにくく、体内の水分量も少なめなので。また、乳幼児は体温調節機能が未発達で、布団に熱がこもりやすいためです。

また、日中に屋外で活動した人も注意が必要。昼間のうちに体から水分が失われており、自覚のない隠れ脱水のまま入眠することで、夜間熱中症のリスクが上がります。脱水という点では、眠る前に飲酒をした人も同じ。アルコールの強い利尿作用により、飲んだ量以上の水分が尿として排出され、睡眠中に激しい脱水を起こします。

このほか挙げられるのは、睡眠中にエアコンを稼働させていない人。たとえ就寝時までエアコンをつけていたとしても、夜中や明け方は壁からの放射熱で室温が上がります。タイマー運転の場合も、タイマーが切れた後に室温が急上昇して夜間熱中症につながるため、エアコンは朝までつけっぱなしを基本としましょう」

夜間熱中症が起こる主な原因

イラスト:夜間熱中症が起こる主な原因

誰にでも起こり得る夜間熱中症。発症する主な原因を、坪田さんに改めてうかがいました。

昼間に上がった寝室の温度が、夜になっても下がっていない

「日中、強い日差しを浴びた住宅のコンクリートや木材、家具は、大量の熱を蓄えます。夜になって外気が下がっても、壁や天井から室内に向けてじわじわと放出される熱、いわゆる“放射熱”が発生するため、エアコンをつけないと夜中になっても室温が下がりません」

睡眠前後の水分補給が不十分

「人は一晩でコップ1〜2杯分の汗をかきますが、暑い室内で失われる水分はそれ以上。日中であればのどが渇いたら水分を補給できるものの、睡眠中の数時間はまったく水分補給ができないため、一気に脱水へと進行します」

部屋の湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体に熱がこもりやすい

「同じ室温28℃でも、湿度が50%から70%に上がると、体感温度は精神的にも肉体的にも数度高く感じられます。
人間は汗をかき、それが蒸発することで体温を下げていますが、室内の湿度が高いと汗は蒸発しないため、体から熱を逃がせなくなることに。結果として汗をダラダラかいて水分は失うのに、体温はどんどん上昇するという最悪のスパイラルに陥ります。」

寝具の通気性や吸湿性が低いと、体温調整がしづらい

「睡眠中、体の背面である背中やお尻に常に密着しているのが、敷布団やマットレス。これらの通気性や吸湿性が悪いと、体と寝具の間に熱や湿気がたまるため、睡眠中の体温調節をさらに妨げてしまいます」

夜間熱中症で見られる主な症状

画像:寝起きの男性

夜間熱中症にかかると、体にはさまざまな症状が表れます。始まりかけのサインから、命にかかわる重大な症状まで、主にどのようなものがあるか、坪田さんに教えてもらいましょう。

就寝前の生あくび、顔のほてり

「眠くないのにあくびが何度も出たり、顔だけが異常に赤く熱かったりするのは、脳の温度が上がり、自律神経が乱れ始めているサイン。これらが就寝前に見られる場合は、すでに熱中症が始まりかけている可能性があります」

こむら返り、手足のしびれ

「眠っている最中や起床時に足がつったり、手足がピリピリとしびれたりする状態。これらの症状は、大量の発汗によって塩分(電解質)のバランスが崩れ、筋肉や神経が正常に働かなくなるために起こります」

起床時の頭痛、だるさ、吐き気、めまい

「朝、起きた瞬間に頭がガンガンする、体が重くて起き上がれない、胃がムカムカする、目が回って体を起こせないといった状態です。睡眠中の脱水により血液が濃くなり、脳や内臓への血流・酸素供給が不足することで起こります」

大量の寝汗、汗をかかないなど、いつもと違う汗の状態

「パジャマが濡れて絞れるほど汗をかいている、あるいは体に触れると熱いのに肌が乾いている状態です。大量発汗は、体が必死に体温を下げようとしている証拠。逆に汗をかかないのは、体内の水分が底をつき、体温調節機能がパンクしてしまったためなので、極めて危険なサインです」

意識がもうろうとする、自力で水分補給ができないのは緊急事態

「呼びかけへの反応が鈍い、会話が噛み合わない、脱力して水が飲めないといった場合は、重度の脱水と体温上昇により、脳の機能に障害が出始めている状況。自力での回復は難しく、命に関わるため、すぐに救急車を呼ぶべき段階です」

夜間熱中症を防ぐために、寝る前にできること

画像:水分補給している女性

重症化すれば命に関わる夜間熱中症。このリスクを抑えるために、今晩からできる予防方法を坪田さんにうかがいましょう!

就寝前と起床時に水分を補給する

「睡眠中は水分補給ができず、コップ1〜2杯分以上の汗をかいて脱水が進むため、その前後に先手を打つ必要があります。枕元に水かスポーツドリンク、もしくはノンカフェイン・ノンアルコールの飲料を用意し、眠る直前と目が覚めた直後にそれぞれコップ1杯(約200ml)を飲みましょう。これにより、睡眠中の脱水を最小限に抑え、寝起きの頭痛やだるさといった初期の夜間熱中症を未然に防ぎます」

アルコールやカフェインを含む飲み物で水分補給をしない

「アルコールやカフェインには強い利尿作用があるため、水分を補給するどころか、逆に体内の水分を尿として外へ追い出してしまいます。眠る前のビールや緑茶、ウーロン茶、コーヒーなどは避けるようにしましょう。もし飲んだ場合は、それ以上の量の水を飲むように意識を。睡眠中の予期せぬ脱水の進行を防ぎ、体内の水分量を適切にキープできます」

温湿度計で寝室の状態を確認する

「人間の体感温度はあてにならないうえ、夜間は暗さや静けさから“暑くない”と錯覚しがち。一方、温湿度計による管理なら、危険な環境への気づきが生まれ、エアコンをつけるべきタイミングを客観的に判断できます。枕元に近い場所に温湿度計を置き、室温28℃以下、湿度60%以下を保てているか、目視で確認するようにしましょう」

通気性の良い寝具やパジャマを選ぶ

「寝具と密着する背中側に熱や湿気がこもると、いくらエアコンをつけていても体温は下がりません。汗の蒸発を促して効率良く体温を下げるには、寝具やパジャマの選び方も重要。敷きパッドには接触冷感素材や、通気性の良い3Dメッシュ素材を取り入れ、パジャマは吸汗速乾性の高い麻や綿、シルクを選ぶと、夜間熱中症予防と同時に良い睡眠ももたらされます」

就寝中の夜間熱中症対策では、エアコンの使い方に気を配ろう

画像:エアコンのリモコン

連日の熱帯夜も珍しくない昨今は、エアコンをつけていないと眠れないという方も多いことでしょう。そんなエアコンを夜間熱中症対策として活用するなら、どのように使えば良いのでしょうか?

寝る前から寝室を冷やしておく

「まず、就寝の30分〜1時間前にエアコンをつけ、設定温度を25〜26℃にして稼働させます。その後は布団に入るタイミングで、設定温度を26〜28℃の就寝モードにしましょう。これにより、昼間に壁や天井、寝具などに蓄積された熱が就寝前にリセットでき、布団に入った瞬間のムレや寝苦しさが解消されるため、スムーズに眠れるはず。なお、就寝中の温度は、冷えすぎが気になるなら27℃〜28℃、暑がりの方や快適な睡眠を最優先するなら26℃前後がおすすめです」

睡眠中はつけっぱなしにするという選択肢も

「夜中から明け方にかけての室温上昇を完全に防ぐなら、眠っている間もエアコンをつけっぱなしにしておくと良いでしょう。住宅環境や体調などにもよりますが、目安としては設定温度を26〜28℃にし、切タイマーは使わずに朝まで連続稼働を。夜中から明け方にかけての室温上昇を防ぎ、“気づかないうちに脱水が進む”という。夜間熱中症の最大のリスクを減らせます」

風が体に直接、当たらないようにする

「冷風が直接体に当たり続けると、体の冷えすぎや肌・のどの過度な乾燥を引き起こしがち。エアコンの風向ルーバー(羽)を“水平”、または“一番上向き”に設定し、風が直接当たらないようにしましょう。また、風量を“自動”に設定することで風が部屋の上部を巡るようになり、部屋全体の温度を均一に保つため、快適に過ごせます」

温度だけでなく湿度にも配慮する

「どれだけ室温が適温でも、湿度が60%を超えると一気に熱中症リスクが高まります。汗が蒸発しやすくなり、体温が下がる湿度の目安は50〜60%です。湿度計を見て60%を超えているときは、エアコンの除湿(ドライ)機能を活用すれば、設定温度がやや高めでも熱が体にこもりにくく、さらりとした快適な寝心地をつくれるでしょう。

外気温が下がっても部屋に湿気がこもっていると、ジメジメした危険な室内環境が続きますので、エアコンの冷房だけでなく除湿機能をうまく使うことが夜間熱中症対策の大きなカギとなります。
なお、冷房運転でも“自動風量”にすることで、効率よく除湿できます」

寝室に合ったエアコン選びのポイント

画像:寝起きの女性

夜間熱中症対策としてはもちろん、快適な眠りを得るためにも活用できるエアコン。坪田さんによると、寝室用に選ぶなら、注目したいポイントがいくつかあるそうです。

寝室に合うエアコンを選ぶときに確認したいポイント

・静音性の高さ(低騒音設計)
「眠りが浅いときは、わずかな音でも脳が覚醒してしまいます。カタログで運転音の大きさを確認し、特に“静音モード”や“おやすみモード”が充実している機種を選びましょう。室外機の稼働音も、深夜の静寂下では室内まで響くことがあるため、内外ともに静かなものが理想です」

・フィルター自動お掃除機能
「寝室は、布団やパジャマから出るホコリが非常に多い場所。エアコンのフィルターが目詰まりすると冷房効率が落ち、設定温度になりにくいことから夜間熱中症のリスクを高めますが、フィルターの自動お掃除機能があれば、常に高い冷房能力と除湿能力を維持できます。空気が清潔に保てるのもポイント」

・きめ細かな気流制御機能
「就寝中に冷風が直接体に当たると、体温が奪われすぎて血管が収縮し、寝起きの体の痛みやだるさの原因になります。そのため、天井に沿わせて風を送れる機能や、人の動き・位置を感知して風を避けるセンサー機能を搭載した機種が寝室向き」

・寒くなりにくい除湿方式
明け方などに外気温が下がると、エアコンの除湿方式によっては温度が下がりすぎて寒くなることがあります。そこでおすすめなのは、室温を下げすぎずに湿度だけを下げる除湿を可能とした機種。これなら、夜間熱中症を防ぎつつ、冷え性の人や子どもも快適に朝まで眠れるでしょう」

・スマートフォン連携、センサー見守り
「子どもや高齢者は自分の不調に気づきにくいため、部屋の状況を別室から確認できる機能があると安心。アプリで室温を確認できたり、一定の室温を超えると自動で冷房が入る“見守り機能”があったりすると、夜間熱中症を物理的に防ぐ強力な手段になります」

パナソニック『エオリア EXシリーズ』は、快適な寝室環境づくりを支える機能を搭載

画像:エオリアEXシリーズ

寝室の温度や湿度、さらには空気環境も整えたいなら、寝室のエアコンに『エオリア EXシリーズ』を選ぶのはいかがでしょうか?風量を抑えて静かに運転する“しずかモード”を採用しており、運転音が気になるときはリモコンのボタンひとつで手軽に切り替え可能。フィルターの自動お掃除機能はもちろん、独自の清潔イオン“ナノイーX”にも対応しており、エアコン内部も室内の空気もクリーンに保てます。

また、涼風が直接体に当たらず、天井から降り注ぐ“天井シャワー気流”や、自然に近い涼風を届ける“1/fゆらぎ気流”など、気流制御機能も充実。除湿モードでは、冷房出力と風量を調整することで、室温低下を抑えつつ設定湿度に向かって除湿を行うことができます。

さらに、運転停止中に部屋の温度・湿度を検知し、熱い状態が10分以上続くと自動で冷房をスタートする“室温みはり”機能や、遠隔操作や離れた部屋の温湿度の見守りができる『エオリアアプリ』にも対応。ご自身だけでなく、子どもや高齢家族の寝室にも適した1台となっています。

まとめ:夜間熱中症を防ぐには、寝る前から寝室環境を整えることが大切

画像:寝ている女性

眠っている間に発症してしまうこともある夜間熱中症。これを防ぐには、部屋の温湿度管理をはじめ、日中や就寝前の行動などにも注意を払う必要があります。坪田さんによると、夜間熱中症を防ぐには、まず「夜・室内=安全」という思い込みを捨てることが大切なのだそう。

「睡眠中は暑さや渇きへのセンサーが鈍るため、体感に頼らず、温湿度計の数値を信じて対策を立てることが重要です。また、電気代を惜しんでエアコンの使用を控えるのは非常に危険。最新のエアコンは気流制御にも優れているので、贅沢品と考えず、命を守る医療機器だと思って賢く活用してください。

そして、“眠る前のコップ1杯の水分補給”も欠かさずに。この水分補給と“エアコンの朝までつけっぱなし”という2つのセットだけで、夜間のリスクは大幅に抑えられます。無理な我慢をせず、エアコンという文明の利器も味方につけて、安全で質の高い眠りを手に入れましょう」

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夜間熱中症についての監修

写真:坪田 聡さん

坪田 聡(つぼた さとる)

日本医師会、日本睡眠学会所属。ビジネス・コーチと医師という2つの仕事を活かし、行動計画と医学・生理学の両面から、睡眠の質の向上に役立つ情報を発信中。快眠グッズや気になる研究発表など、睡眠に関連する最新情報も紹介している。総合情報サイト『All About』睡眠ガイド。

2026年6月30日 空気

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