料理研究家 島本 美由紀さんに聞く「フードロスを防ぐ冷凍保存術」
ライター:UP LIFE編集部
2023年8月7日
食・レシピ
日本では年間約600万トンものフードロスがあります。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量の約1.4倍に相当するそうです。わかりやすく例えると、国民一人あたり、毎日茶わん一杯分(約130g)の食べ物が捨てられているということ。毎日の「もったいない」をなくし、大切な食材をムダなくおいしく食べ切りたい!そこで今回は、料理研究家で、食品ロス削減アドバイザー、冷蔵庫収納&食品保存アドバイザーとしても活動する島本 美由紀さんに「フードロスを防ぐ冷凍保存術」についてお話を伺いました。
フードロスで最も多いのは野菜
※本記事はパナソニックから、島本 美由紀さんに、「冷蔵庫」を提供した上、インタビューを依頼し、コメントの内容を編集して掲載しております。
教えてくれたのは…料理研究家:島本 美由紀さん
冷凍、食品保存を中心に幅広い知見を活かし、レシピ開発や、雑誌、TV出演、講演会など幅広く活躍。料理だけにとどまらず、「食品ロス削減アドバイザー」、「冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー」、「防災士(防災食・備蓄アドバイザー)」など多彩な肩書を持つ。
野菜は冷凍保存して最後まで使い切る
島本先生:フードロスとは、食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。フードロスの半数近くは、なんと家庭から出ていて、食材別で見てみると1位が「野菜」です。せっかく購入した野菜をおいしく食べ切るためにも、まとめ買いをしたら新鮮なうちに冷凍保存しましょう。
例えばキャベツや小松菜などの葉野菜は、食べやすく切って生のまま冷凍用保存袋に入れて冷凍しておけば、使いたい時に使いたい量だけ取り出して、凍ったまま使えるので便利です。
そして、夏が旬のトマトやなす、ピーマン、パプリカなどの実野菜も冷凍保存向き。食べやすく切って、冷凍用保存袋に入れて冷凍しておけば、食卓に彩りを添えてくれますよ。室温に5分ほど置いておけば凍ったままでもサクッと切れるので、トマトやピーマンなどは丸ごと冷凍も可能です。
比較的日持ちのしやすい根菜類もぜひ冷凍してみてください。にんじんや大根、ごぼうなど、食べやすい大きさに切って冷凍しておけば、凍ったまま煮物やスープに使え、冷凍することで火の通りも早くなるので時短に繋がります。
きのこ類や薬味も迷わず冷凍保存!
島本先生:個人的におすすめなのが、冷凍することでうまみや栄養価がアップするきのこ類。しめじやえのきは根元を切ってほぐしてから冷凍用保存袋に入れて冷凍しておけば、凍ったまま料理に使えます。しいたけも凍ったまま切れるので、丸のまま冷凍するのもおすすめです。
残りがちなにんにくやしょうがは、薄切りや1片ずつなど使いやすい大きさに切って、少量ずつラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍しておきましょう。
薄切りなら凍ったまません切りやみじん切りにしたり、1片ずつなら凍ったまますりおろすこともできます。残りがちなねぎやみょうがなどの薬味も、食べやすい大きさに切って、冷凍用保存袋に入れて冷凍しておけば、解凍せずに冷奴や麺類のトッピングに使えます。
冷凍すれば保存期間は1カ月。どの野菜も生のまま冷凍できるので下準備もかんたんです。ダメにする前にぜひ冷凍を!!
使い切れず、余らせがちな食材も、冷凍保存してムダなく活用
ピザ用チーズの冷凍ポイント
島本先生:ピザトーストやグラタンなどに、さっと使えて便利なのが短冊状にカットされたシュレッドタイプのピザ用チーズ。スライスチーズよりも使い勝手がいいので、常備している人も多いのではないでしょうか? 冷蔵していてもカビやすいので、購入したらすぐに冷凍での保存をおすすめしています。そのまま冷凍すると水分が結露してダマになりやすいのですが、冷凍用保存袋に入れて片栗粉を少量加えて混ぜるだけで、パラパラに冷凍できるんです。目安は1袋のピザ用チーズ(約200~300g)に対して片栗粉小さじ1。取り出したい分だけ取り出せ、片栗粉の違和感なく普段通りに使えますので、ぜひ試してみてください。保存期間は1カ月です。
乾物も冷凍で鮮度をキープ
島本先生:風味や食感が変わりやすいかつおぶしや昆布、焼きのりなども冷凍保存がおすすめです。入っていた袋をクリップなどで閉じ、冷凍用保存袋に入れて冷凍保存すれば、風味や食感がしっかりキープされ、保存期間も2~3カ月ほど。使い切れず、余らせがちな食材も冷凍でムダなく最後まで活用できます!
豆腐やこんにゃく、卵も冷凍でおいしく保存
冷凍で食感が変わる豆腐は肉代わりにも
島本先生:豆腐やこんにゃく、卵などの意外な食材も、実は冷凍保存ができます。豆腐は冷凍すると水分が抜けて肉のような弾力のある食感に。絹豆腐、木綿豆腐、どちらも冷凍可能で、木綿豆腐は噛み応えが増し、高野豆腐のような食感に。絹豆腐は生湯葉を重ねたような新食感が楽しめます。お肉代わりにもなるので、水けを絞って食べやすく切ればステーキやから揚げに。細かくほぐせば、ひき肉の代わりとしてそぼろやナゲット、ハンバーグにアレンジ可能です。
こんにゃくは冷凍することで味の染み込みUP
こんにゃくも冷凍すると水分が抜けて噛み応えが増すので、から揚げやとんかつ風など、お肉代わりとして使えます。味の染み込みもよくなるので、和え物や煮物にするのもおすすめです。豆腐もこんにゃくも購入したパックや袋のまま冷凍するのがラクちん。前日から冷蔵室で解凍し、水けを絞ってから使ってみてください。いつもの料理がヘルシーに仕上がります。保存期間はどちらも3カ月です。
卵は生のままでも冷凍OK
最後に卵の冷凍方法です。生のまま1個ずつラップで包み冷凍用保存袋に入れます。ラップをはがして流水でさっと洗うと、つるんと殻がむけるので、冷蔵室で解凍して温かいごはんに乗せれば、冷凍卵かけごはんに!卵は冷凍することで黄身が濃厚でもっちり食感に。新食感の卵かけごはんが楽しめます。また卵焼きや薄焼き卵にしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍しても便利。卵焼きは時間のない日の朝ごはんに、薄焼き卵は冷やし中華やそうめんの彩りに使えます。生の場合も焼いた場合も保存期間は1カ月です。
旭化成ホームプロダクツご担当者様が伝授!冷凍保存に欠かせないジップロック®とサランラップ®の上手な使い方
彩り野菜の定番!ほうれん草の冷凍保存方法
ほうれん草は生のままでもゆでたものでも冷凍保存ができます。生のままだと冷凍室内でかさばりますが、比較的良い状態で利用できます。使うときは沸とうしたたっぷりの湯で30秒ほどゆでてください。ゆでたものを保存するときは通常よりかためにゆで、水けをしっかりと絞って、一回に使う分ずつ薄く小分けにして「サランラップ®」でぴったりと包みます。
夏が旬のトマトは、まるごと冷凍が便利!
トマトはまるごと「ジップロック®フリーザーバッグ」に入れ、なるべく空気を抜き、ジッパーをしっかり閉めて冷凍保存します。使うときは「フリーザーバッグ」から出して、「ジップロック®コンテナー」に入れ、フタをせずに電子レンジで解凍します。トマトはまるごと冷凍すると解凍後、かんたんに皮がむけるので、スープや煮込みメニューに便利です。解凍のときに出た水分にはトマトのうま味が含まれているので、捨てずに利用しましょう。
サランラップ®、ジップロック®を使いこなして冷凍上手
ポイント① 使いやすい分量を小分けして保存
味噌汁の具にしたり、スープに入れたり、使いやすい用途や量を考えて小分けして保存するとよいでしょう。薄く広げてサランラップ®で包むと解凍の時間も短くなり、解凍ムラも起こりにくくなります。
ポイント② 包装方法も使い分けて
長期保存にはバリア性の高いサランラップ®を使って小分けし、ジップロック®フリーザーバッグでしっかり密封することをおすすめします。ジップロック®フリーザーバッグに日付などを記載すると冷凍庫整理もしやすくなります。短期間で使い切るものや薬味として頻繁に使いたい場合はジップロックフリーザーバッグなどに直接入れてもOKです。
「はやうま冷凍」を活用して、冷凍保存をさらに便利に・さらにおいしく!
パナソニック冷蔵庫に搭載の「はやうま冷凍」を使えば、霜がつきにくく、おいしく冷凍保存。カット野菜もパラパラに冷凍でき、使いたい分だけ取り出せて便利です。忙しい日もパパっとおうちごはんがつくれる、島本先生の「はやうま冷凍」レシピをご紹介します。
「はやうま冷凍」のミックス野菜で、お手軽タイ風ごはん
時間のあるときに、ピーマンやたまねぎ、にんじんを角切りにして、「はやうま冷凍」でミックス野菜をストックしておけば、「ガパオライス」も手早くかんたんにつくれます。
本格ソースの決め手は、まるごと冷凍のミニトマト
「はやうま冷凍」で丸のまま冷凍しておいたミニトマトなら、かんたんにソースのような仕上がりに。
冷凍保存を上手に活用して、手軽にフードロス削減。今日からさっそく始めてみませんか?
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2023年8月7日 食・レシピ
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