ジアイーノ
保護犬猫応援
プロジェクトの
はじまりとこれから
パナソニックが2021年から取り組んでいる本プロジェクト。
SNSで行った募金キャンペーンでは、当初の予想を大幅に超える149万アクション(投稿や「いいね」など)を獲得し、
2022年4月には「パナソニック保護犬猫譲渡会」を初開催しました。
現在も、動物保護団体への寄贈や譲渡会などの取り組みを続けています。
この取り組みの背景にあったのは、保護犬猫にまつわる社会課題に対する担当者の問題意識でした。
個人的な想いから、どのようにプロジェクトにつながっていったのか。その経緯を振り返ります。
取材:2022年7月 / 更新:2026年4月15日
※本記事は 2022年7月20日に掲載されたインタビューの再掲載です。記事内で紹介している肩書・所属はインタビュー当時のものです。
田頭 裕子(たがしら ゆうこ)
パナソニック HVAC & CC株式会社 IAQ事業部 国内IAQ営業統括部 家電営業部 企画課 主幹。2004年松下電器産業株式会社(現・パナソニックホールディングス株式会社)入社。2019年より空質家電(衣類乾燥除湿機、 ジアイーノ 、空気清浄機など)のマーケティングを担当。
社会課題に対する
個人的な思いを、
会社の取り組みへ
—本プロジェクトは、 ジアイーノ のマーケティングチームが保護犬猫の問題に取り組むという、一見すると意外な組み合わせのプロジェクトですが、どんなところから始まったのでしょうか。
田頭:日本では、飼育放棄されたり、劣悪な環境下で飼育されたりするペットたちの存在が長らく問題となっています。こうした状況をどうにかしようと、動物たちを保護して、新しい飼い主さんを探す活動をされている方たちがいます。でも、現実にはすべての保護動物たちを救うことは難しく、殺処分されてしまう子たちも少なくありません。実際、SNSで「◯月◯日が殺処分の期限です。誰か助けてください」といったメッセージを目にすることもあります。私自身、トイプードルを2匹飼っていて、命あるものに「期限」があるかのように扱われてしまう現実に、ずっと胸を痛めていました。
田頭が一緒にくらしているトイプードルの兄弟(左:ヘムヘム、右:くろまる)
—最初は個人的な想いからはじまっていたんですね。
田頭:はい。動物を飼い始めると、SNSなどを通じてペット友だちが増えていきます。そのなかには、「保護犬・保護猫を迎えました」という人や、自ら保護活動をしている人もいました。私も少しでも役に立てればと、募金や、うちの愛犬たちが使わなくなったおもちゃを寄付したりしていました。でも、やはり一人でできることには限りがあります。
そんなことを数年間続けるなかで、私はパナソニックという企業の社員であり、会社には「企業は社会の公器である」という考え方があるのだから、いつか「会社としてのアクション」につなげられないだろうか、と考えるようになりました。そこで着目したのが、自分が担当している ジアイーノ です。
ジアイーノ は、コロナ禍に大きなニーズが生まれました。ですが、長い目で見ると、自宅の空気を除菌して清潔にしたいというニーズは感染の拡大状況によって浮き沈みが激しく、なかなか先の見通しを立てづらい。そこで、もう一つの特長である「脱臭」機能を求める層にも、もっと価値を届けることが必要ではないかと考えていました。「脱臭」というテーマに目を向けると、現時点で ジアイーノ が特に役立てる領域の一つが、ペットに関するニオイ対策でした。実際、 ジアイーノ のユーザーにペットを飼われている方が多いことは、社内の調査でもわかっていました。
こうしたことを考えていく過程で、ペットを飼っている方、またこれから飼おうかなと思っている動物好きの方たちの関心も高い「保護犬猫の殺処分問題」の解決に少しでも貢献できれば、 ジアイーノ をもっと身近に感じていただけるのではないか、と思うようになりました。これは、私がずっと抱いていた「動物たちの命を救いたい」「ペットを飼っている人たちのために仕事がしたい」という思いとも重なっていました。そうした社会課題への取り組みと、 ジアイーノ を知っていただく機会づくりを、一緒に進められないかと考えたのが出発点でした。
シェルター環境の改善を、
譲渡の後押しに
—とはいえ、動物保護活動というのは普段の業務とはかなり異なるテーマです。何から着手したのか。
田頭:まず最初に行ったのは、朝日新聞社が運営するペットメディア「sippo」編集部の方に電話したことです。「保護犬猫を支援する活動と、『ジアイーノ』を知ってもらう取り組みを両立したいのですが、家電事業しかやってこなかった私たちにはわからないことが多いので、相談に乗ってもらえませんか」とお話ししました。
実は、 ジアイーノ の担当になる前に、ペットを軸にした新規事業を企画したことがありました。そのときは犬用のIoT電動歯ブラシを企画したのですが、アイデア止まりで事業化には至りませんでした。原因は、「事業部を巻き込めなかった」ことだと考えています。当時は事業部に人脈がなく、「ペット世帯向けに商品開発をすれば新しい可能性がある」というところまで、十分に説得しきれなかったんです。
ただ、その経験から得たものは大きかったです。ペットマーケティングをより深く知ることができましたし、「ペットの飼い主向けに事業をやろうと思ったら、事業部を巻き込むことが大事だ」ということも学びました。
また、「sippo」さまやペット友だちと交流したり、ペット関係のテレビ番組や雑誌で動物保護活動が紹介されているのを目にしたりするなかで、ペットに関する社会的な課題に関心を持つ人たちの層の厚さと想いの強さを、強く肌で感じてもいました。つまり、かつての新規事業のときとは違い、私が「やろう」と提案したら、一緒に動いてくれる人たちはいる、という直感があったんですね。
こうして、外部の識者に意見をうかがいながら、チーム内でも可能性を検討し、上司へのプレゼンを経て、「ジアイーノ 保護犬猫応援プロジェクト」がスタートしました。
—保護団体への ジアイーノ 寄贈から始めたのは、なぜだったのか。
田頭:保護団体では、たくさんの犬や猫を預かります。そのぶん、家庭で飼育するよりも、動物の体臭や排泄物のニオイが強くなることが予想されました。 ジアイーノ はペットに関するニオイの脱臭効果に定評のある商品です。動物を保護しているシェルターの環境を少しでも改善することにつながれば、スタッフの方々の負担軽減にもなるし、保護犬猫を見に来られた方の印象も良くなり、譲渡も進みやすくなるのではないかと考えました。
つまり、 ジアイーノ という商品を通じて、少しでも譲渡件数が増えればいいなと考え、まずは日本全国10の保護団体に寄贈しました。幸い、何件もの寄贈先から、「これまでさまざまなニオイ対策をしてみても脱臭効果を実感しにくい場合がありましたが、『ジアイーノ』はニオイ対策にも高い効果を発揮しています」といった声をいただきました。
こうした声は、 ジアイーノ の価値を伝えるうえでも重要なものでした。私たちは商品の特長をエビデンスとともに紹介していますが、カタログやウェブサイト上では、その空気を実際に体験していただくことはできません。だからこそ、実際に使ってくださっている方々の声には大きな意味があると感じていました。
SNS施策で見えた、
社会的な関心の大きさ
田頭:さらに、 ジアイーノ が保護団体支援の取り組みを始めたことを広く知っていただくために、SNSでの募金キャンペーンも行いました。「#ジアイーノ保護犬猫応援プロジェクト」とつけて投稿していただいたり、その投稿に「いいね」を押す、リツイートするなど、何らかのアクションをしていただいたら、1アクションあたり「ワンニャン」にちなんでパナソニックが12円を保護団体に寄付する、という内容です。パナソニックではこのような取り組みをそれまで行ったことがなかったので、どのくらい反響があるのかは未知数でした。
ハッシュタグつきの投稿や「いいね」を1アクションとしたら、トータルで10万アクションくらいだろうと予想していたのですが、いざ蓋を開けてみたら149万アクションという反応をいただいたので本当にびっくりしました。私たちの活動にたくさんの応援の声をいただけて、目標としていた合計120万円を、参加する全国の動物保護団体に寄付することができました。
左:保護猫カフェ「ねこかつ」、右:一般社団法人「おーあみ避難所」
—この結果は、社内にはどのように受け止められたのか。
田頭:社内的にもインパクトがあったようです。この経験が、その後の取り組みを進めていく後押しになったことは間違いありません。当初は、私が一人で声を上げているだけのように見えていたかもしれませんが、保護犬猫支援が社会全体の関心ごとであることが伝わったのは大きかったと思います。
保護犬猫支援を
もっと身近なテーマに
— ジアイーノ を寄贈する、SNSでキャンペーンを行う、というところまでは、商品を介したメーカーの取り組みとしてイメージできます。一方で、さらに譲渡会を主催するという企画へと進んでいったのですね。
田頭:保護団体の方々に話をうかがうなかで、「コロナ禍で譲渡会をやりたくても人を集めることが難しい」「雨風をしのげて、冷暖房が効いている会場をなかなか貸してもらえない」といった声がありました。また、どれだけ社会的に意義深い活動であっても、保護活動に関心がない方に知っていただくのは難しい、という話もよく出てきました。保護団体の皆さまも、ご自身のホームページやSNSで情報を積極的に発信されていますが、それが届く相手は、もともと保護犬猫活動に興味がある方たちが中心です。そこから外へ広がっていかないことには、助かる動物の数も頭打ちになってしまいます。そこで出てきたのが、「パナソニックで譲渡会をやればいいのではないか」というアイデアでした。パナソニックは家電や住宅設備・建材などを通して、広く社会へと浸透しています。この潜在的なパナソニックブランドの力を利用できないだろうかと考えました。
—実際に開催してみて、反応は?
田頭:おかげさまで、のべ4,200人もの方にご来場いただく、大きな譲渡会になりました。参加者アンケートでは、6割以上の方が「初めて譲渡会に参加した」と回答されていました。保護犬猫の問題に関心はあるけれど、どこに行けばよいかわからない。そんな方々の背中を押すことができ、保護犬猫支援が少し身近なテーマになったのではないかと思います。また、動物保護活動をされている著名な方々にもご参加いただきました。こうした方々にも、パナソニックの譲渡会が受け入れられ、応援していただけたことは印象に残っています。
2022年東京会場の様子
2024年大阪会場の様子
2025年東京会場の様子
—このプロジェクトで、特に印象に残っている出来事はありますか。
田頭:パナソニックの譲渡会で猫を迎えたという方が、インスタグラムに写真を投稿されているのを見つけたときです。「素敵なご縁をいただき感謝しています」「思い切って譲渡会に参加してよかったです。わが家はさらにハッピーになりました」といった言葉を見て、私たちの取り組みが、救われた動物や新たな飼い主さんの幸せにつながっていることを実感しました。
支援の広がりを支えた、
社内外の共感
田頭:ここで伝えたいのは、今回のプロジェクトは私一人で進められるものではなかった、ということです。宣伝、広報を含めた社内メンバーの協力があって、初めて形にすることができました。
—このプロジェクトには、宣伝担当の榎本 悦子、広報担当の守山 みずきも参加していました。
榎本:じつは私も、かつて保護団体から迎えた犬を飼っていたことがあるんです。自分にとって、その愛犬と過ごした時間はすべて「幸せな記憶」です。今回の譲渡会をきっかけに新たな家族を迎えられた飼い主さんたちにとっても、これからそうした時間が生まれていくのだと思います。事業を通じて、より良い社会を目指す活動に関われたことは印象に残っています。
守山:私は、特にSNSでの募金キャンペーンへのリアクションの多さと、熱い声にすごく驚かされました。やはり通常は、プレゼントの有無などによって反応が変わってくるものなのですが、今回は、お客さまへのわかりやすい利益はないにも関わらず、ただただ「保護犬・保護猫のため」という一点でここまで大きなムーブメントになった。
この「伝わった」という手応えは、私たちのモチベーションに大きな影響を与えました。保護犬ではありませんが、私も昔犬を飼っていたことがあるので、動物保護の問題には以前から関心を持っていました。でも、当然のように、みんながみんなそこに意識的なわけではありません。社内でも、当初はそうした温度差がありました。「保護犬猫とは何か」「譲渡会って何か」というところから説明しなければならなかったり。私は広報担当なので、まずは ジアイーノ を知ってもらいたいということが第一にありましたが、そうした保護犬猫の問題を知らない人にも届けたい、という思いも同じくらい強いものでした。
今回の活動を通して、少なからず社会に問題提起できたこと、問題を解決する糸口をつかめたことは非常に嬉しかったですし、自信にもつながったのではないかと思います。
「ペットを飼っている
ファミリー」に
もっと寄り添える
マーケティングができるはず
田頭:この保護犬猫応援プロジェクトは、パナソニック一社では絶対に実現できなかったものです。保護団体さんたちだけに限らず、日本中の多くの方々が社会課題だと感じている「犬猫の殺処分問題」を一日でも早く解決させたい。そういった志をもった方々とともに進んでいったからこそ、ここまでの成果を上げることができたと感じています。
その背景には、当社のプロジェクトに協力してくださる日本中の保護団体さんをコーディネートしていただいた「sippo」さまのお力添え、保護団体さんの熱心な活動、そしてSNSなどで声援をくださった方々、譲渡会に足を運んでくださった方々の存在がありました。犬や猫の殺処分を少しでも減らしたい、社会を変えたい、という目標に向けて、多くの人が一緒に動いてくれたからこその結果です。ここには、未来に向けてより良い社会を目指しながら企業活動をしていくうえでの、重要なヒントがあるとも感じています。
—このプロジェクトの将来目指す姿を教えてください。
田頭:まだこのプロジェクトは始まったばかりですので、継続していくことが大事だと感じています。たとえば、保護団体さんへの ジアイーノ の寄贈を定期的に続けていき、全都道府県の保護団体が必ず ジアイーノ を使ってくださっている、というようなことになれば、この仲間の輪はさらに日本中に広がっていくのではないかと思います。また、譲渡会に関しても、継続してほしい、毎年やってほしいというお声をたくさんいただいています。私の願いとしては、「毎年ゴールデンウィークはパナソニックの譲渡会に行こう」と思っていただけるような定例行事になっていったら嬉しいです。
— ジアイーノ のマーケティング活動の一環であった本プロジェクトが、今後どんなかたちに成長していくか、いまから楽しみです。
田頭:ありがとうございます。まだまだ、パナソニックだからこそできることがたくさんあると考えています。パナソニックは、これまで主に子育て世帯を家電事業のメインターゲットにしてきました。けれど、世帯数の減少、少子高齢化などの流れを受け、日本の世帯構造は多様化しています。子育て世帯だけでなく、「単身世帯」「シニア世帯」「介護世帯」、そして「ペット世帯」など、さまざまなライフスタイルがすでに存在しています。パナソニックもその多様な世帯にもっと寄り添うべきだと考えます。ペット世帯への取り組みは、まだまだ可能性を秘めています。これを社内外に広く理解してもらえるよう、自分の持てるエネルギーを注ぎ込んで、もっと成果を出していきたいです。
—そのために、具体的に考えているアイデアなどはありますか。
田頭:私は2匹のトイプードルたちと一緒に暮らしているので、ペット世帯にとってどんな家電がマストアイテムなのか、よくわかります。AVC商品から白物家電まで、日本で最も幅広いラインアップの家電を製造・販売しているパナソニックですので、 ジアイーノ だけでなく複数の事業部を横断して「ペットと暮らしているファミリー」に寄り添うことができるはずです。
たとえば今回の譲渡会は、 ジアイーノ だけでなく、ペットの毛がからまないコードレススティック掃除機、外出先からも自宅のペットの様子を確認できるHDペットカメラの3事業部合同で商品体験コーナーを企画・運営しました。他の事業部の方々にも加わっていただき、オールパナソニックで「ペット世帯」に寄り添う新たな取り組みにチャレンジしていけたらいいなと思います。
そして、ゆくゆくは異業種のペット関連企業さんなどともコラボして保護犬猫支援活動ができたら嬉しいですね。そうやって活動の輪が広がっていくことは、何より、一匹でも多くの動物たちの命を救うことにもつながっていくはずなので。
プロジェクトの歩み
2021年
全国10の動物保護団体に ジアイーノ を寄贈
SNS投稿キャンペーン、目標金額(120万円)を達成
2022年
ジアイーノ 寄贈団体を全国20団体へ拡大
SNS投稿キャンペーン、目標金額(200万円)を達成
「川島なお美動物愛護賞ワンダフル・パートニャーズ賞」を受賞
2023年
ジアイーノ 寄贈団体を全国30団体へ拡大
SNS投稿キャンペーン、目標金額(210万円)を達成
2024年
新たに2団体に ジアイーノ を寄贈し、計30団体超え
ジアイーノ ペットエディション(F-MV4420)の売り上げの一部を動物保護団体へ寄付 ※2年間
1年目(23年11月~24年10月分):寄付金額 約267万円
2025年
新たに2団体に ジアイーノ を寄贈し、計33団体へ
ジアイーノ ペットエディション(F-MV4420)の売り上げの一部を動物保護団体へ寄付 ※2年間
2年目(24年11月~25年10月分):寄付金額 約241万円