Air Letter -くうきコラム-

「対策をしないとこんなに飛び散る!屋内の花粉スポットと対処法」のメインビジュアルです。 「対策をしないとこんなに飛び散る!屋内の花粉スポットと対処法」のメインビジュアルです。

そろそろ花粉が気になる季節。できるだけ外出を避けようと思う人も多いでしょうが、実は家の中にも花粉が入り込んでいるんです。室内でも、特に気を付けたい「花粉スポット」とは?
群馬大学にて室内の花粉飛散などを研究する髙橋俊樹准教授に、有効な対処法と併せて教えてもらいました。

どのくらいある? 侵入経路は? 家の中に入り込む花粉

今回、お話をうかがった髙橋准教授の主な研究テーマは、「高温の電離気体による核融合発電」と「空気清浄」。まったく異なる分野に思えますが、実は共通項があるのだそうです。

「もともと行っていたのは1億度以上に加熱された電離気体の分野で、電子やイオンなど電荷を持つ粒子の動きをシミュレーションするといった研究をしていました。その手法を活用できないかと考えたところ、花粉は小さな粒子であり、電離気体はニオイを消すオゾンを発生させるといった共通項があることに思い至り、空気清浄の研究も始めることとなったのです」

現在は、屋内における花粉の動きをシミュレーションして解析を行うほか、オゾンを活用した消臭装置など、新たな空気清浄システムも開発中だとか。この研究の一環として、空気中に含まれる花粉の数の測定も行うそうですが、実際のところ、屋内にもある程度の量の花粉が入り込んでいるのでしょうか?

「室内の花粉の数は、外気の“1%以下”とも言われています。数値には幅があり、窓の開閉状態や引き違いなどの構造、測定場所が天井か床かなど、条件によって変わってくるのです。確実に侵入してきていますし、溜まっている場所もある以上、対策は重要です」

では、花粉はどのように侵入してくるものでしょうか?

「最も多いのは玄関。外から入ってきた人の衣類や髪に付着し、そのまま家の中に持ち込まれます。花粉は粒子として見ると重いため、本来ならそれほど奥まで侵入するものではありません。たとえば玄関のドアの開け閉めなどで起きた風で舞っても、少し経つと落ちる。
ただ、この落ちた花粉が人の靴下やスリッパなどに付着することで、リビングなどへ引き入れてしまうのです。そのため、花粉を室内へ持ち込まないためには、まず玄関で除去することが重要だと思いますね」

群馬大学大学院理工学府 電子情報部門 髙橋俊樹 准教授

群馬大学大学院理工学府 電子情報部門 高橋 俊樹 准教授

舞い散る花粉、溜まる花粉はどう違う? 屋内の花粉スポットとは

たとえリビングに持ち込まれても、花粉が重いのなら床付近だけ注意していればいい……なんて思うかもしれません。でも、髙橋准教授によると「問題はオービクルなどのさらに細かい粒子にある」のだそうです。

「オービクルとは、花粉の表面を覆う無数の微粒子のこと。直径約30μmのスギ花粉に対し、オービクルは0.4μmほどと非常に小さく、花粉からはがれて空気中に舞い散ると落ちるまでにかなりの時間がかかります。
人が普通に生活していれば歩くだけでも気流が起きるので、その度に舞い散るとすると、落ちることはないと言えるかもしれません。また、室内に溜まった花粉を放置していると水蒸気の水分などで破砕し、微粒子となって空気中を漂うケースもあります。
つまり、花粉は床にも空気にも存在するということですね」

では、室内に持ち込んでしまったら、部屋全体に気を配らなくてはならないでしょうか?
髙橋准教授に聞くと、花粉やオービクルには、特に溜まりやすい場所があるそうです。

花粉とオービクルのイメージ

「先ほどお伝えした玄関、窓などの侵入経路はもちろん溜まりやすいですが、室内ではその部屋の気流が関係します。
エアコンや空気清浄機、換気扇、サーキュレーターなど、室内には気流をつくるものが多くあり、その流れを阻害する箇所に落ちて溜まりやすいですね。
条件により変わりますが、たとえば部屋の隅、柱の周り、家具の角といったところ。また、カーテンなどの布製品や、化学繊維など静電気が起きる箇所に付着して溜まっていることもあります」

花粉が溜まりやすいというこれらの場所は、言うなれば“花粉スポット”。できるだけつくらないようにするのはもちろん、掃除のときも念入りに行いたいですね。

部屋の隅のイメージ

花粉の季節、少しでも快適に過ごすなら?

「花粉対策は粒子の大きさによって、2段階で行う必要があります」と、髙橋准教授。基本的に、花粉は床を、オービクルは空気をキレイにするよう心掛けるとよいそうです。

「まずは花粉を持ち込まないことが大切なので、玄関にはハンディサイズのクリーナーなどを用意し、衣類に付着した分を取り除きます。さらに、可能なら空気清浄機も設置して、常に稼働させておくとよいでしょう。
また、床の掃除に掃除機を使うと、排気によって花粉を舞い上げてしまうことがあるので注意したいもの。床の材質によって難しいかもしれませんが、水拭きも有効です。ただし、水拭きした雑巾をしっかり洗わずに放置すると、乾いたときにまた花粉が飛散してしまいます。
掃除の後はしっかり洗うか、使ったらすぐに捨てられるウェットタイプのシートを使って掃除するようにしましょう」

床を水拭きする様子

また、空気をキレイにするにも「気流を意識するのが重要」なのだとか。
では上手に利用するためにはどうすればよいのでしょうか?

「空気清浄機の多くは機器の左右から空気を吸い込み、上部からキレイな空気を出す構造。そのため、高い位置より低い位置に置いた方が気流の範囲が広くなります。
一方、空気清浄機能付きのエアコンは高い位置にあり、下方へ空気を出すため、高い位置をキレイにするのに適した気流ができます。この気流を家具などで妨げないようにし、できるだけ広く大きく循環するように意識してください」

では、それぞれを併用する際はどのような配置にすると良いでしょうか?

「できるだけ離れた場所に置くなどで、両者の空気の流れをオーバーラップさせないことが大切。なお、花粉とオービクルの重さの違いを考えると、空気中に漂うオービクルは空気清浄機能付きのエアコンに、重くて床に落ちる花粉は空気清浄機に除去してもらうのがよいと思います。
余談ですが、花粉はせっかく集めてきても、直前で気流から外れてポトリと落ちてしまうものもあるので、掃除の際には空気清浄機の周りも注意して掃除をしたいですね」

Profile
髙橋 俊樹(たかはし としき)

群馬大学大学院理工学府 電子情報部門 准教授。1998年、総合研究大学院大学博士課程を修了。電磁場におけるイオンや電子の軌道解析などを用いた、粒子輸送現象を専門とする。室内気流への応用として、空気清浄機のつくる乱流場でのスギ花粉挙動解析、花粉除去に適した気流生成についての研究も行っている。趣味はジョギングの記録を(走らない日を含めて)毎日つけること。

髙橋 俊樹さんのプロフィール画像です。
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