「全粒粉」とはどんな粉?小麦粉との違い・豊富な栄養素について解説

器に入れた生米 器に入れた生米

全粒粉についての監修:検見﨑 聡美(けんみざき さとみ)
ライター:UP LIFE編集部
2025年8月22日
食・レシピ

近年では健康志向の高まりにより、「全粒粉」を使った商品やレシピが注目されています。「体に良い」というイメージを持たれやすい全粒粉ですが、具体的にはどのような栄養素を含んでいるのでしょうか。この記事では、全粒粉が持つ栄養素、全粒粉と小麦粉の異なるポイント、全粒粉の活用方法などについて解説します。

全粒粉とは?小麦粉との違いも解説

写真:器に入れた全粒粉

全粒粉とは、小麦の粒を丸ごとひいて小麦全体をすべて粉にしたもののことです。全粒粉には、強力粉などの小麦粉でも利用される「胚乳」だけでなく、白い小麦粉を作るプロセスで除去される「表皮」や「胚芽」といった小麦の部位すべてが含まれます。ここでは、小麦粉との違いなどについて、詳しく解説していきます。

全粒粉と小麦粉の違い1.成分や栄養素

全粒粉と小麦粉の、成分や栄養素の違いは下記の通りです。
小麦は、主に表皮(外皮)・胚芽・胚乳の3つの部分で構成されています。最も外側に位置する表皮は小麦粒の約15%を占める部分で、「ブラン」や「ふすま」などとも呼ばれています。また、やがて小麦の芽となる部分である胚芽は小麦粒全体の約2%を、種子が発芽するときの養分となる胚乳は小麦粒全体の約83%を占めています。

胚芽約83% 表皮約15% 胚芽約2%

胚乳は全体的に乳白色や淡い黄色をしているので、胚乳のみを使用して作られる小麦粉は白っぽい色となります。一方、全粒粉は胚乳だけでなく、有色の表皮や胚芽も含むので、粉の色は茶褐色や茶色・こげ茶に近い色の粒が混ざります。

小麦の胚乳もさまざまな栄養素を含んでいますが、表皮や胚芽には「食物繊維」や「タンパク質」、「ビタミンB1」などのビタミン、「マグネシウム」などのミネラルが含まれています。表皮には「ビタミンE」、胚芽には「カルシウム」も含まれます。全粒粉はこのような表皮や胚芽を含むので、胚乳のみで作る小麦粉と比べて、さまざまな種類の栄養素を摂取できると言えるでしょう。

全粒粉と小麦粉の違いをお米に例えるなら、玄米と白米の違いに似ています。玄米は稲の実からもみ殻だけを除いたもので、白米はそこからさらに胚芽とぬかを取り除いたものです。全粒粉は玄米に、小麦粉は白米に近いものとして考えれば、イメージしやすいかもしれません。

全粒粉と小麦粉の違い2.風味と適した料理

写真:クッキー

全粒粉と小麦粉では、風味や適した料理が異なります。

【小麦粉】
小麦粉は全粒粉と比べるとクセがないため、幅広い料理に活用できます。粉の色は白く、仕上がりもきれいになります。また、小麦粉で作る生地はソフトな食感になりやすいため、薄力粉であればふんわりしたスポンジケーキを作る場合などに適しています。

【全粒粉】
全粒粉は、小麦の風味が豊かで香ばしく、ほんのりとした苦みもあります。小麦粉を使用するレシピの多くで代用可能ですが、粘り気のもとになる「グルテン」が小麦粉よりも少ないため、パンの場合は生地のふくらみが控えめになることや、全粒粉の色が料理の見た目に影響することを知っておきましょう。

全粒粉を使用した食品はややハードな食感に仕上がるため、パンやクッキー、クラッカーなどを作るのに向いています。パン作りに全粒粉を使用する場合は、小麦粉の場合よりも生地のふんわり感やモチモチ感が少なくなります。ザクザクとした食感を楽しみたい方や、小麦本来の豊かな風味を楽しみたい方におすすめです。

全粒粉はグルテンフリーではない

写真:カットされたパン

グルテンは、小麦などの穀物の中に存在するタンパク質のひとつで、パンや麺などを作るときの粘り気やふんわり感のもとになる成分です。近年では「グルテンフリーダイエット」が流行するなど、グルテンの摂取を避ける食生活を実践する人が増えており、小麦粉よりも健康的なイメージがある全粒粉はグルテンフリー食品と間違えられることもあるようです。

しかし、全粒粉はグルテンフリー食品ではありません。それは、小麦のグルテンは主に胚乳にあり、全粒粉はその胚乳部分も含めて小麦が丸ごと使用されているからです。小麦の表皮を含む全粒粉は、グルテンが形成されにくく、胚乳のみを使って精製された小麦粉に比べるとグルテンを生成しにくいのは事実です。ただし、全粒粉にもグルテンは一定量存在することに注意しましょう。

全粒粉に含まれる栄養素とはたらき

写真:粉

小麦の胚乳部分だけでなく、表皮と胚芽も含めて小麦粒を丸ごとひいて作った全粒粉は、さまざまな栄養を含むことから健康志向の人におすすめです。ここでは、全粒粉に含まれる主な栄養素について詳しく解説します。

【全粒粉の栄養1】食物繊維は小麦粉の約4倍!

食物繊維は人間の体内で消化・吸収されない食品成分の総称です。食物繊維は、整腸作用があり、血糖値やコレステロール値の上昇を抑制するといった働きをすることが知られています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2025年版)によると、食物繊維の1日当たりの摂取目標量は、18~69歳の男性が20g、女性が17~18gとなっていますが、現代社会を生きる多くの人で不足しがちな栄養素と言われています。

全粒粉は1割以上を食物繊維が占める食品で、100g当たり11.2gの食物繊維を含んでいます。食物繊維を多く含む食品にごぼうやれんこんが挙げられますが、100g当たりの食物繊維はごぼうでは5.7g、れんこんでは2.0gです。これらの数値からも、全粒粉が食物繊維を豊富に含むことが分かります。

また、小麦粉(強力粉・1等)100g当たりの食物繊維は2.7gなので、全粒粉は小麦粉の4倍以上です。全粒粉はパンや麺類などの主食に取り入れやすい食品でもあるため、食物繊維を効率よく摂取したい人や食物繊維が不足していると感じる人におすすめです。

全粒粉・小麦粉(1等)の強力粉の主な栄養素比較(抜粋)表 栄養素 | 全粒粉(強力粉) | 小麦粉(強力粉) 食物繊維総量 (g) | 11.2 | 2.7 ビタミン B1 (mg) | 0.34 | 0.09 ビタミン B2 (mg) | 0.09 | 0.04 ビタミン B6 (mg) | 0.33 | 0.06 カルシウム (mg) | 26 | 17 鉄 (mg) | 3.1 | 0.9 カリウム (mg) | 330 | 89 マグネシウム (mg) | 140 | 23 ※文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年を参考に作成 (可食部100gあたりの数値)

【全粒粉の栄養2】ビタミンB群が代謝をサポート

全粒粉には「代謝ビタミン」とも呼ばれるビタミンB群の中でも、特にビタミンB1・B2・B6などが豊富に含まれています。小麦粉(強力粉・1等)100g当たりに含まれるビタミンB1は0.09mg、B2が0.04mg、B6が0.06mgである一方、全粒粉100g当たりに含まれるビタミンB1は0.34mg、B2は0.09mg、B6は0.33mgです。

ビタミンB群は、生体内でのエネルギーの生成・代謝に欠かせない栄養素であり、ビタミンB1は糖質の代謝、ビタミンB2は脂質の代謝、ビタミンB6はアミノ酸の再合成に関係しています。ビタミンB群をしっかり摂取することで体内のエネルギー代謝がスムーズに行われ、疲労感の軽減や心身の健康維持に役立つことが期待できます。
ビタミンB群は代謝以外にも神経機能や免疫機能のサポート、粘膜の保護など体内で幅広く機能する成分でもあります。

【全粒粉の栄養3】豊富なミネラルで不足を補おう

全粒粉は、小麦粉と比べてミネラルも豊富に含まれています。全粒粉には100g当たりカルシウムは26mg、鉄は3.1mg、カリウムは330mg、マグネシウムが140mg含まれているのに対し、小麦粉(強力粉・1等)100gに含まれるカルシウムは17mg、鉄は0.9mg、カリウムは89mg、マグネシウムは23mgです。

カルシウムは骨や歯を構成する主な成分であり、筋肉の収縮や細胞分裂・細胞分化、血液凝固の働きの促進などにも関わっています。また、鉄は血液中の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」の構成成分であり、全身の細胞に酸素を運ぶ働きをしています。さらに、カリウムは細胞の浸透圧の調節や腎臓におけるナトリウムの再吸収の抑制、心臓機能や筋肉機能の調節などの働きをしています。マグネシウムは、骨や歯の形成にかかわる栄養素で、体の代謝を助ける機能を持っています。

このように体内で重要な働きをするミネラルですが、現代人の食生活では不足しがちな栄養素とも言われています。全粒粉など毎日の食事に取り入れやすい食品を活用して意識的に摂取すると良いでしょう。

全粒粉を使った絶品パンレシピ

前述したように、全粒粉は小麦粉を使用する多くのレシピで小麦粉に代えて使用できますが、料理の種類によって全粒粉の使用に向いているものと向いていないものがあることに注意しましょう。全粒粉をおいしく食べるには、豊かで香ばしい風味と満足感のある噛みごたえを楽しめるパンがおすすめです。
ここでは、パナソニックのホームベーカリー ビストロ SD-MDX4を使ったレシピを2つご紹介します。

  • 全粒粉パン

イースト以外の材料をパンケースに、ドライイーストをイースト容器に入れ、「全粒粉パン」というメニューを選んでスタートするだけで全粒粉パンが完成します。

  • パン・ド・カンパーニュ

細びきの全粒粉のほか、フランスパン用粉やライ麦粉、モルト粉などを使って「パン・ド・カンパーニュ」の生地も作れます。ポーリッシュ種(発酵種)作りや、一次発酵・二次発酵、成形、焼き上げは手動で行いますが、手作業では時間がかかりやすい生地作りをホームベーカリーにおまかせできます。

全粒粉のパンが簡単においしく焼ける!ホームベーカリー

ホームベーカリー ビストロ
SD-MDX4

全粒粉を使用したパンを自宅で手軽に作りたい・焼きたてを食べたい方には、「全粒粉パン」のメニューがあるホームベーカリー SD-MDX4がおすすめです。SD-MDX4の主な特長についてご紹介します。

全粒粉パンメニューで簡単!予約で焼きたて&具入りパンも味わえる

材料を入れ、オートメニューで「全粒粉パン」を選べば、簡単に作ることができます。もちろん全粒粉パンの他にも「ソフト食パン」や「フランスパン」、「ライ麦パン」などいろいろなパンが作れて便利です。

また、レーズンなどのドライフルーツやナッツ類といった具材もセットしておけば、自動で投入されて生地に混ぜ込まれます。水けがあったり、溶けやすいチーズやチョコレートなどの具材は、手動で投入可能です。「粗混ぜ機能」を活用すれば形状をキープしたまま混ぜ込むことができます。

写真:レーズンパン

また、焼き上がり時間を設定できる予約タイマー※1の機能を搭載しています。夜に材料を入れてセットしておけば、翌日の朝には焼きたてのパンが食べられるので、忙しい方でも出来たてのおいしい全粒粉パンを気軽に味わえます。

43種のオートメニューで毎日飽きずに楽しめる!

パンを含めて43種のオートメニューがあるのも特長です。ピザ生地やうどん・パスタ、もち、甘酒なども作れるほか、ケーキや生チョコ、ジャム、コンポートなどのスイーツ作りにも対応しているため、飽きずに楽しめます。

写真:うどん・甘酒・コンポート

まとめ

全粒粉にはさまざまな栄養素が含まれており、食物繊維やビタミンB群、鉄、カルシウムなど不足しがちな栄養素が豊富です。特に全粒粉を使ったパンは香ばしく、小麦本来の豊かな風味を味わえるのが魅力ですので、この記事を参考においしく取り入れてみてください。全粒粉パンの焼きたてを自宅で手軽に味わいなら、ホームベーカリー ビストロ SD-MDX4を活用するのがおすすめです。多彩で豊富なパンメニューを活用して、毎日焼きたてのパンを手軽に味わってみてはいかがでしょうか。

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全粒粉についての監修

検見﨑 聡美(けんみざき さとみ)

検見﨑 聡美(けんみざき さとみ)

料理研究家、管理栄養士。赤堀栄養専門学校卒業後、料理研究家のアシスタントを務める。独立後はテレビや雑誌、書籍等を中心に活躍。体にやさしく初心者でも手軽に作れる料理に定評がある。

  1. 予約タイマーが使えるのは、パン・ド・ミ、食パン、ソフト食パン、サンドイッチ用食パン、ごはんパン、ごはんフランスパン、フランスパン、ライ麦パン、全粒粉パン、白パン風食パン、ハーフ食パン、米粉パン(小麦入り)、米粉パン(小麦なし)、ドライ天然酵母食パン、天然酵母食パンです。

2025年8月22日 食・レシピ

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