「ジアイーノ」開発者の声 ~2022年度の挑戦~

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集中クリーンモード追加、付着臭脱臭の実証、清潔加湿。
新たな「快適」を追い求めた開発者たちの挑戦。

誕生以来、年々新たな機能追加や性能アップが施され進化を続ける「ジアイーノ」。
2022年度版のリニューアルでも、3つの大きな改良が施されました。
そこでこの「進化」を生み出した技術者たちにインタビュー。
その発想の原点や開発上の苦心、効果に関する検証について伺いました。

2022年度版「ジアイーノ」進化の挑戦者たち

島戸 孝明

パナソニック エコシステムズ株式会社
IAQビジネスユニット ジアイーノ事業ジア商品企画課

「ジアイーノ」の改良に関する企画、マーケティングを担当。お客様の声から次なるニーズを探り、開発担当者へアイデアを共有する、新型「ジアイーノ」開発の「頭脳」ともいえる役割を果たす。

島戸 孝明の写真です
澁谷 章吾

パナソニック エコシステムズ株式会社
IAQビジネスユニット 技術革新センター 家電技術部 
空間浄化機器開発課

「ジアイーノ」改良に関するさまざまなアイデアを、機構設計に関する知恵と柔軟な発想で具現化するエンジニア。トライアル&エラーを繰り返し、これまでなかった機能をカタチにする。

澁谷 章吾の写真です
松浦 孝幸

パナソニック エコシステムズ株式会社
IAQビジネスユニット 技術革新センター 制御技術部
制御ソフト開発2課

「ジアイーノ」内部の機構を正しく動かし、制御するソフト開発のプロフェッショナル。2022年度版「ジアイーノ」の繊細な次亜塩素酸生成量のコントロールにおいて、特に重要な役割を果たす。

松浦 孝幸の写真です

2022年度版「ジアイーノ」は、ここが進化!

集中クリーンモード搭載

次亜塩素酸の濃度を一時的にアップさせるモードを搭載。有人空間に配慮した次亜塩素酸濃度で、お部屋に付着した菌やニオイを短時間で取り除きます。

集中クリーンモードのイメージ画像です。本体天面部の集中クリーンモードをクローズアップしています。
付着臭脱臭を実証

室内の布製品に付着しているニオイも、放出した次亜塩素酸で脱臭できることを、実際の調理の場面を再現し、実証しました。

付着臭脱臭を実証のイメージ画像です。魚や料理のイラストが描かれています。
清潔加湿

次亜塩素酸のチカラで、トレーの水を除菌。常に除菌状態が維持されることで、お部屋を清潔に加湿することができます。

清潔加湿のイメージ画像です。水面の画像です。

2022年度版の進化ポイント1 集中クリーンモード搭載

—「集中クリーンモード」を搭載しようという発想はどんなところから生まれたのですか?

島戸:コロナ禍でおうち時間が増える中、自宅で焼き肉などをする機会も増えています。ただ、調理した後のニオイが室内に残ることが気になるのも事実。

それについては、すでに「ジアイーノ」をお使いのお客さまから「室内で焼肉をした後でも、ニオイがしっかり取れる」という声を多くいただいており、一般家庭の環境で脱臭能力が高く評価されていることはわかっていました。

それならば、例えば家族が寝静まるお休み中などの短い時間に、その効果を発揮できれば、翌朝には室内を快適な状態に戻すことができるのではないかと考え始めました。

島戸が話している画像です。
島戸、澁谷、松浦が横並びに座っている画像です島戸、澁谷、松浦が横並びに座っている画像です

また、コロナ禍以降、家庭における衛生対策意識は変わりました。「ジアイーノ」は、気体状の次亜塩素酸で付着菌対策に使っていただけますが、人が活動している時間帯は、だれかがどこかに触れるたびに、その都度雑菌がどこかに付着しています。ですので、お休み時間中のリビングで空間の付着菌を集中的に抑制するようなモードがあれば、翌朝をリフレッシュした空間で迎えていだたくことができるのでは、とそんな思いで開発を始めました。

—「集中クリーンモード」を搭載することに関し、開発面で苦労したことはどんなことでしたか?

澁谷:短時間で脱臭能力を高めるには、次亜塩素酸の濃度と生成量を一時的に上げなければなりません。それが人体に影響しないという安全性を確保することはもちろんですが、脱臭時に発生する反応臭(汚れやニオイなどに反応して発生する塩素臭)の許容度を考えつつ、従来の半分の時間で付着菌除菌をすることを目標に設計に取り掛かりました。

松浦:具体的には次亜塩素酸の生成量を増やすモードを新たに開発し、かつ次亜塩素酸を放出するファンの風量とのバランスをとりながら、6時間後に元の次亜塩素酸濃度に戻すための制御を行うことです。

渋谷が話している画像です。

島戸:「6時間後に元の次亜塩素酸濃度に戻す」というのが大きなポイントでした。タイマー機能を使い、6時間後にピタッと通常モードにただ戻すだけというのであれば比較的簡単な開発なのですが、それでは6時間後に人が部屋に戻ったとき、直前まで通常より多くの次亜塩素酸が発生していたことで反応臭が気になるという事態が想定されます。

島戸、澁谷、松浦が横並びに座っている画像です島戸、澁谷、松浦が横並びに座っている画像です

松浦:そうならないように、6時間後にいつもの快適な空間に戻すということを目標とすると「集中クリーンモード」で急速に濃度を上げて浄化能力を一気に高めたのち、モードが切れる前の段階から緩やかに次亜塩素酸の濃度を戻すコントロール機能が必要だということになりました。

澁谷:次亜塩素酸の濃度を一時的にあげる動作を繰り返すことで、「ジアイーノ」内の電極に負荷がかかり、製品寿命の短縮に繋がることも考えられます。また、風量を高めることで、ファンの騒音も大きくなります。実際にお客様が使用する場面をいろいろと想定しながら、制御ソフト部門と運転状況をすり合わせて除菌の試験を繰り返して完成させていきました。

紙面に集中クリーンモードの次亜塩素酸の濃度や風量をコントロールするイメージ図を書いている写真とIAQラボの外観の写真です紙面に集中クリーンモードの次亜塩素酸の濃度や風量をコントロールするイメージ図を書いている写真とIAQラボの外観の写真です

6時間後にお部屋を快適な空間に戻すために次亜塩素酸の濃度や風量をコントロールする実験は、社員の自宅やパナソニック エコシステムズ敷地内の「IAQラボ」を使い、実際の使用状況に近い環境で繰り返し行われました。

2022年度版の進化ポイント2 付着臭脱臭を実証

—今回新たに、「ジアイーノ」が布などについた付着臭を脱臭することを実証しようと企画した意図を聞かせてください。

島戸:「ジアイーノ」が空間に漂うニオイを吸い込み、次亜塩素酸水溶液で抑制することは知られていましたが、実際のお部屋のニオイの原因には布製品などに染みついたものから発生するという要因もあります。次亜塩素酸の酸化力でニオイの元から抑制できるだろうという発想で、付着臭への効果検証を始めました。

—付着臭脱臭の実証は、どのように行われたのでしょうか?

澁谷:パナソニックにはナノイーの開発などで知見はありましたので、脱臭の評価自体はそれを活用しました。人間が感じるニオイの強度を6つに分ける6段階臭気強度表示法を用いて評価しています。通常の生活の中で強いニオイと感じるレベル4から、あまりニオイを感じないレベル2未満に下がるまでの時間を、「ジアイーノ」を置いた空間と置いていない空間とで比較する方法です。

ニオイの判定は、環境省が定める嗅覚試験をクリアしたパネラー複数人が行います。

渋谷が話している画像です。

澁谷:テストは「空質試験室」の中で実際に肉と魚を焼き、布にニオイを付着させた「実物臭」と、さまざまなニオイのもとを混ぜて人工的に作ったニオイを布に付着させた「擬似臭」を嗅いでもらい行われました。

実物臭

空質試験室の中で実際に肉と魚を焼き、布にニオイを付着させます。

澁谷が「空質試験室」の中で肉と魚を焼いている写真です
擬似臭

ニオイのエッセンスを合わせて擬似臭をつくり、焼き肉・魚以外のニオイの付着臭でも実験します。

澁谷が擬似臭を作っている写真です

「ジアイーノ」を置いた空間と置かない空間とでは脱臭スピードにどんな違いがあるのかを検証します。

「ジアイーノ」を置いた空間
「ジアイーノ」を置いた空間の画像です。
「ジアイーノ」を置かない空間
「ジアイーノ」を置かない空間の画像です。

澁谷:この実験を繰り返し行った結果、「ジアイーノ」を置いた空間の布の方が短い時間で脱臭されたことのエビデンスを得ることができました。

島戸:お部屋のニオイというのは、VOC(揮発性有機化合物)などの有機物質が原因のものもあれば、雑菌の代謝物が原因となっているケースが多く、単純なものではありません。さまざまなニオイを「ジアイーノ」が除去しているということをお客様が納得し、さらに効果を実感していただくために、脱臭の理由となるエビデンスを取得していく研究開発の継続が重要だと考えています。

島戸が話している画像です。

2022年度版の進化ポイント3 清潔加湿

—もともと「ジアイーノ」に加湿機能はありましたが、今回特に「清潔除菌」と銘打ったのはなぜですか?

島戸:その理由は3つあります。1つには「ジアイーノ」が、除菌効果の高い次亜塩素酸を活用することで「加湿」と「除菌」の両方を実現できるという価値を、お客様に伝えたかったということがあります。

島戸の写真です島戸の写真です

2つ目としては、加湿機でよくいわれるような「トレーがぬめる」「フィルターに菌が繁殖する」というお困りごとに対して、「ジアイーノ」の強みを明確にしたかったということです。当社の加湿機や加湿空気清浄機でも、ぬめりなどの発生に備えるための除菌ユニットを設けていますが、ぬめりの原因はそもそも加湿機内に吸い込まれた雑菌がフィルター上などで繁殖することにあります。

「ジアイーノ」は常に次亜塩素酸が本体内で生成され、その溶液で満たされたトレーは菌の繁殖が抑制されています。また除菌フィルターも次亜塩素酸の水溶液が浸かった状態を維持することで同じ効果が得られます。このような仕組みで清潔な加湿を提供することができます。その安心感をお客様に伝えることで、「ジアイーノ」を選んでいただきたいという思いがありました。

社内での実証実験の写真です。次亜塩素酸を生成してない水を浸したトレーと次亜塩素酸を生成してない水を浸したトレーの比較です。社内での実証実験の写真です。次亜塩素酸を生成してない水を浸したトレーと次亜塩素酸を生成してない水を浸したトレーの比較です。

社内での実証実験の様子。次亜塩素酸を生成しない状態(右)で3カ月間放置したトレー内の水やフィルターは、ぬめりが発生し、黄色く変色しています。一方、通常通り次亜塩素酸を生成する状態(左)であれば、稼働後3カ月後でもトレー内の水は透明であり、フィルターも白く保たれています。

3つ目は内部の話になってしまいますがこのメカニズムを開発した技術者の苦労をうまく発信できないか、いうこともあります。「ジアイーノ」初期のモデルのころから除菌槽での菌を抑制するため、次亜塩素酸の濃度を制御をする技術やフィルター上の菌の繁殖を抑えるクリーニング運転モードの開発などを行ってきました。言葉にすると簡単そうですが、ご家庭の様々なシーン、様々な条件で使われることを想定し、確認と検証を繰り返し、改良を続けて今に至っています。

松浦:フィルターを常に次亜塩素酸水で浸して清潔を維持しておくためには、運転がOFFの状態でも定期的にフィルターを回転させる必要があります。これが「クリーニング運転」という意図した動作なのですが、お客様の中には「運転させていないのに、勝手に作動している…故障?」と勘違いされるお客様いらっしゃるようです。そこでお客様にはなるべく違和感を与えないタイミングで作動させるよう、細かな制御を施しているのです。

今後の「ジアイーノ」が目指す姿

—最後に、今後「ジアイーノ」をどのように進化させていきたいか、皆さんのお考えを聞かせてください。

澁谷:「使い勝手」という面で、まだ改善すべき点があると思っています。お客様のご負担をなるべく減らすよう、給排水作業を減らす、電極の寿命を延ばすといった工夫を実現する開発を進めていきたいと考えています。

渋谷が話している画像です。

松浦:例えばお客様の生活パターンに合わせて、給排水のタイミングを調整するなど、メンテナンス性の向上に貢献していきたいですね。

松浦が話している画像です。

島戸:「ジアイーノ」の次亜塩素酸による「除菌・脱臭」という効果に、「加湿」「集じん」という要素が加わり、「空間をきれいにする家電」というイメージをさらに高めることができました。そんな新しい機能をお客様にもっと深く認知していただくために、「ジアイーノ」の価値をアピールする展開を形にしていけたらいいなと思っています。

島戸が話している画像です。
島戸、澁谷、松浦が横並びに立っている画像です島戸、澁谷、松浦が横並びに立っている画像です