Vol.1 「くらしの清潔」を追求する姿勢が、ナノイー誕生のきっかけに
生活空間の「キレイ」を真摯に求めて生まれたナノイーX 開発のきっかけや、
生成のしくみに迫ります
空気を吸い込むだけでは、生活空間をキレイにし切れない。
だからこそ、家電の方から空間に向かってアクティブにはたらきかける清潔機能が必要でした。
水から生まれて、水へ戻るナノイーXの基本的な魅力について聞きました。
ナノイー・ナノイーX技術の説明です。
ナノイー・ナノイーX搭載商品の効果については、各商品サイトをご覧ください。
●掲載している効果時間については、ナノイー・ナノイーXのデバイスとしての試験結果です。
●実際の効果は、お部屋の状況やご使用方法によって異なります。
目次
動画でナノイー誕生までの歩みをチェック
再生時間:約3分58秒
●所属・内容等は取材当時のものです。
高橋 太道
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社
ビューティ・パーソナルケア事業部
デバイスビジネスユニット
デバイス事業企画課
ナノイーXブランドの管理、プロモーションなどを担当。
ナノイーXとは。開発のきっかけや誕生までの過程について
空気を吸い込むだけでは限界があった
生活空間の清潔さを追求した結果、ナノイーが誕生
高橋:
生活空間に存在する有害物質は、大きく分けて2つあります。1つは、空気中に「浮遊」しているもの。もう1つは、お部屋の家具などに「付着」しているものです。たとえば「菌」と一口に言っても、お部屋の中には「浮遊菌」と「付着菌」の両方が存在しています。
一般的な空気清浄機のように空気を吸い込んでフィルターで有害物質をキャッチする方式は、浮遊物質については有効なのですが、どこかに付着しているものや沈下しているものまで吸い込むことは極めて難しい。人間は普段から微生物に接触する機会があり、特に、手を媒介として、ドアノブやリモコン、スイッチなど、色々なところに菌やウイルスが付着してしまいます。
吸い込みで除去しにくい有害物質(お部屋に付着している有害物質)の例
ダニの死がいやフン
比較的重く、床に沈下。空気中に舞い上がりにくく、吸い込みでの除去が難しい。
繊維の中に入り込んだもの
有害物質が繊維の間にトラップされている状態。吸い込みでは取り除けない。
皮脂によって付着したもの
粘着力のある皮脂によって付着したもの。風などで舞い上がりにくく、除去しにくい。
高橋:
清潔で快適な生活空間をどうやったら実現できるか? このテーマに真正面に向き合い、現象・原因を突き詰めていく中で、空気を吸い込む方式では限界があることが分かりました。そして、家電製品の方からイオンを放出、外へ飛び出してアクティブに有害物質を抑制していく方式を構想した点が、ナノイーの原点と言えると思います。
ナノイーXは、浮遊菌・浮遊ウイルスだけでなく、付着菌・付着ウイルスまで抑制※1
空気中に浮遊している有害物質の抑制原理
お部屋の中に付着している有害物質の抑制原理
「水」が持つポテンシャルに着目し、開発をスタート
はじまりは1997年。「住環境における空気浄化」をテーマに、小さな水の粒子を新しい空気清浄技術として使えないか、と研究がスタート。
1990年代は、生活環境の空気汚染が課題になった時代。
「空気が健康に影響を与える」という認識が格段に広まった時代だった。
水には、空気や物をキレイにするポテンシャルがありました
高橋:
水って、毎日触れるものですよね。とても身近な物質ですが、実はすごい力を持っています。ニオイの成分や、汚れを溶かし込んで、空気や物をキレイにする水のポテンシャルを空気清浄にも応用できないか、という発想で研究に取り掛かりました。
水のチカラを応用するには、「水の粒子をどこまで小さくできるか」がカギに
高橋:
水のチカラを応用すると言っても、水をそのまま空気中にばらまくわけにはいかないし、もう少し水の粒子を細かくするために霧吹きで水を吹いたとしてもそのまま床に落ちてしまいます。
水の粒子を500ナノメートルより小さくすると、重力の影響を受けず空気中に漂い続けることが出来ます。さらに、水の粒子を菌・ウイルスよりも小さくすることができれば、極小の隙間に入り込んでしまった「付着菌」や「付着ウイルス」についても原理的には粒子を届かせられる。こうした経緯で、ナノサイズまで小さくすることが開発のポイントになりました。
繊維の奥まで入り込んで、菌・ウイルス、花粉などの有害物質を抑制※1、2
ナノイーXは、「スチーム(水蒸気)」よりもはるかに小さなナノメートルサイズの微細なイオン。
繊維の奥の奥まで入り込むことができるから、菌・ウイルス、花粉などを抑制※1、2します。
空気中の水分を集めて、電気の力でナノサイズの微粒子へ
ナノイーX発生のメカニズムを動画でチェック
再生時間:約52秒
ナノイーX生成のしくみ
高橋:
これは、エアコンや空気清浄機など、パナソニックの家電の内部に搭載され、ナノイーXを生成している「ナノイXーデバイス」です。大きく分けて3つのパーツで構成されており、結露で集めた水に高い電圧をかけることで微細な水粒子にし、ナノイーXを生成しています。
1.
「霧化電極」の底部に配置された「ペルチェ素子」で「霧化電極」を冷やします。
2.
冷やされた「霧化電極」に空気中の水分が結露。電極の先端に水を集めます
3.
「対向電極」から、「霧化電極」の先端に集めた水に向かって高電圧をかけ、ナノイーXが生成されます。
Q. 水に高電圧をかけると、微細な粒子になるのはなぜ?
専門的な言葉では、「静電霧化」という現象です。当時、先行して研究を進めていた広島大学と共同で始めた研究が、この技術に着目するきっかけとなりました。
通常状態の水は、表面張力によって形を丸く保っています。そこに電圧をかけると、水が帯電し、静電気力が加わります。水の形を丸く保つ表面張力が、水を分散させようとする静電気力に負け、水が微粒子となって空気中に放出されます。ノーベル賞学者であるレイリーの基礎理論を応用したもので、パナソニックの独自技術です。
高橋:
こうして、20年前、正真正銘ナノサイズの微粒子水が誕生しました。もちろん世界初※3の快挙です。 ナノサイズの微粒子水を実現したことをシンボリックに自信を込めて表現しようと、「ナノイー」と命名しました。現在でも、パナソニックだけの独自技術です。
お客様に部品交換の手間をかけさせないために。
「デバイス交換不要」へのこだわり
ナノイーデバイスの開発には、日本を代表するメガネ産地である鯖江の「チタン加工技術」が不可欠でした
高橋:
チタンは、歯のインプラントの材料として知られるほど、安全性の高い素材。さらに、放電による摩耗劣化も少ない良質な素材でした。ただ、チタンは加工の難易度が高く、高い精度で安全に加工できる生産技術を模索していました。
ナノイーデバイスが安定した高い性能を発揮するには、電極の特殊な形状を高い精度で加工する技術が必要です。そこで協力を仰いだのが、福井県鯖江市でチタンの精密加工をしていたとあるメガネ職人。「高い精度が求められる小さな部品が多い」という点は、メガネとナノイーデバイスの意外な共通点でした。
実現したい電極形状の図面を持ち込むと、初めは「加工が困難だ」と断られてしまいました。それでも諦めずに、変更可能な部分、絶対に譲れない部分を明確にしながらイメージをすり合わせ、「できるかもしれない」「試作してみよう」と思える形状を導き出しました。試作を何度も繰り返し、理想的な電極形状を作り上げていきました。
チタン製の電極に、これほど強くこだわったのは、やはりお客様に部品交換やお手入れの負担をおかけしたくないがゆえですね。
電極を包む「水」がバリアの役割を果たし、 電極を守るから、デバイス交換・お手入れ不要です
高橋:
もともと丈夫なチタンですが、かたい金属とはいえ、直接高電圧を浴びせ続けると当然ダメージを受け、品質にも影響します。
ナノイーXデバイスでは冷やした電極に結露して集めた水が、バリアのような役割を果たして電極を守ってくれます。放電は電極そのものではなく、水に向かって発生するので電極が摩耗しにくくなるのです。
タバコの煙を大量に浴びる環境でも正常に作動するか試験する「ヤニ試験」をクリアできるのも、水に包まれていることで電極自体が汚れずキレイな状態を保てるからです。
ナノイーXは、すべてのグレードで「デバイス交換不要」。
面倒な部品交換を気にせず使えます。
各製品に搭載されているナノイーXデバイスは、電極が摩耗せず汚れもつきにくいから、
交換時期を気にしたり、定期的なお手入れの手間もなく、長くお使いいただけます。
●故障の際は交換が必要となります。
ナノイーXのここがすごい
日々ナノイーXの改良を考え続けるメンバーに、「ナノイーXの一番すごいところ」はどんなところだと思うか、聞いてみました。
高橋:
ナノイーXの強みは、さまざまな有害物質に対する幅広い効果だと思います。色んな人に、色んな場所、色んなシーンで活用していただきたいと思っています。
日々進化を目指して努力を続けているナノイーXですが、ナノイーX(48兆)も、ある日突然誕生したわけではなく、20年以上の研究の成果が積み重なった結果です。
一朝一夕に真似できるものではなく、開発から商品に搭載した後まで、丁寧につくりあげていくからこそ、これだけ確かな効果を実現することができます。
高橋さんの自宅でも、ナノイーX搭載エアコンが活躍
ナノイーX開発の秘密は他にも
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※3:2003年9月1日発売当時