NEW 写真家が魅せる LUMIX G9PROIIの進化論 写真家の証言 #3
写真家の証言 #3
「プリ連写など進化したAFシステムで決定的瞬間を捉える」
By COZY OGAWA
自然にリスペクトして撮る
動画も写真もさまざまな表現で野鳥を撮影し続けている写真家のCOZY OGAWAさん。自然相手なうえ、野生で育つ動物を撮影するとあって、まさに神出鬼没な被写体を捉える忍耐力が必要になる。そんなCOZY OGAWAさんは野鳥撮影の重要なポイントをこう話す。
「あくまでも野鳥の生息域にこちらが踏み込んで撮影しているということを忘れないことですね。相手にストレスをかけてはいけない。自然そのものにリスペクトする気持ちを持ち、相手のペースも考えて撮影しています。そういう意味では、ポートレート撮影に似ているところがありますね(笑)。だからこそ、野鳥とシンクロした瞬間があればとてもうれしいし、自分の納得いく撮影ができたときは達成感がありますね」
プリ連写で今までにない写真表現が可能
そんなCOZY OGAWAさんにとってカメラに求める最大のポイントは「AF性能」だという。
「相手のペースを考えて撮影するからこそ、瞬間をしっかりと切り抜ける瞬発力をカメラには求めます。野鳥相手なので、次いつ撮影チャンスがやってくるかわかりませんし。LUMIX G9PROIIは、その点では大きく進化しました。LUMIX Gシリーズ初の像面位相差AFが搭載されたことで、より俊敏な動きをするAFに進化したことを確実に実感してもらえると思います。AF-C時の撮影でも従来モデルのようなウォブリングが解消され、ピントが合っているのかなど非常にわかりやすくなりました。背景抜けの確立もだいぶ下がり、加えて、今回動物認識AFの性能が大幅に向上したうえに、動物瞳認識も搭載されたことで、野鳥撮影にも十分対応できます。
F9 1/500秒 ISO800 ©COZY OGAWA
さらに、プリ連写機能に関しては、野鳥撮影のためにあるのではないかと思う機能です。実際に使用して撮影していますが、羽を広げた瞬間の画を撮りたいときでも、脳で認識してからシャッターボタンを押しているようでは遅い場合があります。まさに人間の限界ですね。プリ連写の作動時間も長くなり、まさにカメラが決定的瞬間を捉えてくれ、撮り逃しが少なくなります。電子シャッターを使えば、最大秒間約60コマ(AF-C設定時)の撮影が可能です。電子シャッター使用時でも、それほど歪みは気になりませんでした。LUMIX G9PROIIなら、これから野鳥撮影を行いたいビギナーからミドルユーザーまで幅広い層にオススメできます」
F6.3 1/1250秒 ISO3200 ©COZY OGAWA
機材が軽いことは正義
そう話してくれたCOZY OGAWAさん。その他にも野鳥撮影に向いているポイントがLUMIX G9PROIIにはあるという。
「そもそも『機材が軽いこと』が挙げられます。野鳥撮影の場合、生息エリアが必ずしも車などで行きやすい場所にあるとは限りません。かなり歩いて移動することや、足場が非常に悪い場所での撮影なども想定できます。そんなときに、あまりに重くて大きな機材を持ち出して撮影するのは、つらいことがあります。この夏のように猛暑の中だとなおさらです。その結果、転んだりしたときに自身は大丈夫でも、機材を破損させてしまうことなども……。
LUMIX G9PROIIはマイクロフォーサーズ・センサーということもあり、ボディーもレンズも小型かつ軽量です。小さなカメラバッグにでも十分に入ります。今回使用したEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. II / POWER O.I.S.は、35mm判換算で200〜800mmの超望遠ズームレンズです。それなのにも関わらず、本当に小型で軽量です。持ち出しやすい機材は、撮影のバリエーションを増やしてくれます。フルサイズセンサーのカメラだとどうしてもボディーもレンズも重くなり、ローアングルでの撮影などを長時間することはできません。しかし、このカメラシステムなら、それほど体に負担なく行えます。
またLUMIX S5系のボディーを継承しているので、僕のようにLUMIX S5も使用しているユーザーには、戸惑うことなく使えるのもいいですね。さらに前モデルであるLUMIX G9 PROのときには、シャッターボタンが少し軽いと思っていたのですが、このカメラは丁度いい『押し心地』で誤写の確率が減りました。写真を撮る上で重要な部分はしっかりと改良されているのがいいですね」
忠実な色表現が素晴らしい
野鳥の場合には微妙な色彩変化が重要になってくる。LUMIX G9PROIIの色表現能力はどうだったのか。
「色表現については、とても自然で忠実な色だなと感じました。ニュートラルな印象なので、RAWで撮影しておけば、後で自分の作品方向性に合った色方向へ持っていきやすいですね。誰でも扱いやすい色彩方向で、好感が持てました。ダイナミックレンジも広いので、微妙な色変化を十分に表現できています。さらに、驚いたのは『解像感』ですね。フルサイズカメラと比べても、遜色がないほど芯のある描写力です。鳥の羽根の細かい毛並みなども繊細に描けているので、とても立体感を感じました。一つ前の世代のカメラと比べるとビックリするほどの進化です」
F6.3 1/100秒 ISO3200 ©COZY OGAWA
II型になっても変わらない高い描写力
野鳥撮影には欠かせない超望遠ズームについてはどのような印象を持ったのだろうか。
「新しくリニューアルされたEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. II / POWER O.I.S.ですが、I型でも十分な描写力を感じていましたが、今回のII型もその高い描写力はしっかりと継承されています。大きな違いはテレコン(別売DMW-TC20A)が装着できるようになったことだと思います。野鳥撮影では、テレコンを装着して撮影する機会が多いので、いざというときに付けられるのはいいですね。筐体には、光学式手ブレ補正機構が装備されているので、手ブレをしやすい超望遠レンズでも解像感のある写真が撮れます。今回のセンサーは解像感が高いので、その特性をしっかりと生かすためにも手ブレは少ないに越したことはありません。筐体自体もしっかりとした作りで、防塵・防滴性能が備わっているため、雨の中での撮影でも安心感がありますね」
F6.3 1/1000秒 ISO1600 ©COZY OGAWA
自然を相手にあくまでも「ありのままの世界」を撮影し続けるCOZY OGAWAさん。これからも素晴らしい野鳥写真を取り続けてくれるだろう。
●文/大貝篤史 写真/COZY OGAWA
■写真家プロフィール
COZY OGAWA
千葉県在住。野生動物の撮影をテーマに様々な作品を撮影。ネイチャーズベストフォトグラフィアジア動画部門に3年連続受賞。2017年米スミソニアン自然史博物館にて年間展示の経験がある。
■LUMIX G9PROIIと使用したレンズ
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